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2008年09月18日 (木) | Edit |
宇野千代著「天風先生座談」二見書房より (69)


私の兄貴も医者、弟も医者、兄貴は北里伝染病研究所の
細菌部長をしておりました。もう両方とも死んじまいま
したけれども、

彼らが二人かかって、医学の力で私の病を治そうとしても
治らない。治らないのは、結局、要するに、病になってい
るのが、自分でないからであります。

自分の体を自分で診ることが出来ない以上は、医学は相手
方の体の中まではいって診ることは出来ないから、治らな
いのは当然だ。


そこで、兄貴のようなぼんくらにかかっても駄目だ。
俺の方がはるかに頭がいいんだから、人のことじゃない、
自分のことなんだから、俺が勉強しよう、というんで、
やむにやまれず医者になった。

医者になったんじゃないんだ。医学を研究したんだ。
医者にはなりません。医者にも何にもなりたくないのに、
ただ、医学を自分のために研究したやつに、アメリカの大学
はなんと粗忽か、アメリカの医学博士にしちゃったんです。

とにかくなろうと思ってなったんじゃなくて、すこしでも
この肉体に感ずる苦痛、苦しいやるせなさを、軽くすることを
知ってる人がいやしないかと思って、探したな。

アメリカからイギリスから、フランスからベルギーからドイツ。
誰もこうだと教えてくれる人はいなかったのであります。

こう申しあげると、お前、それゃあれだから、1909年ぐらい
のことなんだから、五十年も前のことじゃあるまいか、とこうお
っしゃるかもしれないが、五十年、半世紀を経過した現在、ソ連
の人工衛星が飛ぶような時代が来ても、この方面のことに関して
は、いまも五十歩百歩。

私はね、外国に行ったら偉い人がいるに違いないから、外国に行
ってやろうと思ってね。一番最初に会ったのが、スエット・マー
デン。「ハウ、ツウ、ゲット、ホワット、ユウ、ウォント」とい
う本を著わしている有名な学者です。

あの本を読んで、私はね、プリントに惚れちゃったんだ。やっぱり
世界にはこんな偉い人がいるわい。アメリカだな、と思ってね。

しかし、読んだのと見たのとは、ぜんぜん違う。本人に会って、
がっかりしちゃった。文字をとおして、天にも地にも換えがたい、
偉大な人だと思って、じゅんじゅん私の心の悩みを語った。

「あの本を何べん読んだ。」
「十ぺん読みました。」
「十ぺん読んだ。どの頁に何が書いてあるか、そらで言えるだけ
読め。何万回でも。」
「それまで命が持ちません」
「死んだら、その方のしあわせだ。」

よう言わんわ、読まずして死ぬより、読んで死んだ方がしあわせだ、
向こうはしあわせかも知れないが、こっちはしあわせでもなんでも
ないわい。



次回につづく


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テーマ:モノの見方、考え方。
ジャンル:心と身体
コメント
この記事へのコメント
やさしく接したほうがいい
ほんとですね。やまんばさんのおっしゃることが
正しいのだと思います。

しかし、世の中はどうも正しいかどうかで動いている
だけではないですね。

天風さんの心の奥にある魂が悲鳴をあげて病気になった
かどうかはわかりません。そうかもしれませんし、
違うかもしれません。

なにせ人類の歴史は殺戮の歴史ですからね。ある意味
人間はそんなにやわではないように思えてなりません。

つまり、倫理や道徳的にどうかというのではなく、
こうあってほしいという願いでもなく、歴史的事実として
どうであったかということを先入観なしに冷静に洞察し、
観察し、できることならそういった体験をお持ちの方の
証言を聞いてみることだと思います。

正しいかどうかではなく、事実はどうかです。
事実のあるがままを受け入れるということであります。



2008/09/18(Thu) 20:16 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
魂が傷ついたんだ・・・・
意識で悪いと思わなくても、心の奥にある魂が悲鳴をあげ、がたがたに傷ついたんだと思う。やまんばはろくろくさんのようにきちんと答えられないけど、そう感じるのです。そこは生命が宿るところ。創造の泉で愛に満ちてるところだと思う。だからなんだかわからない病気になったのだと思うのです(生命エネルギーがガタ減りした)人を殺すのは自分の心を殺すこと。詐欺や泥棒は自分に対する裏切りにしかならないのだと思うのです。自分のためにも、人には、その時に出来るだけでいいから、やさしく接したほうがいいのだと本当に思います。
2008/09/18(Thu) 08:40 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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