2008年09月06日 (土) | Edit |
H. サダーティッサ著 桂紹隆・桂宥子訳「ブッダの生涯」立風書房より(37)


ブッダを殺害するのに失敗したデーヴァダッタは、
五項目の要求をブッダにつきつけた。

それは、出家と清貧と菜食主義という仏教徒の原則を
厳格に適用すること要求するものであった。

これはブッダの手の内を見ようとするずるい試みであ
ったかもしれないが、あるいは弟子たちが踏みしめる
〈中道〉の幅に、実際に変動が生じていたのかもしれ
ない。

しかし、ブッダは何年間も自己の肉体を痛めつける苦行
によって真理を追究した経験があったので、


〈戒律至上主義〉の危険性に対しては敏感で、五項目の要求を
つきつけたデーヴァダッタを断固として懲戒した。

そこでデーヴァダッタは仏教僧団と別れ、五百人の仏弟子と
ともに自分の僧団を創設した。もっともブッダの二大弟子、
コーリタとウパティッサの説得によって、五百人はまもなく
僧団に復帰したのであった。

さらに物語は続き、デーヴァダッタは晩年何か月も病気を患った
とき、過去の行為を悔いて、ブッダと仲直りしようと決意する。

ブッダが滞在していたジェータヴァナ僧院に担架に乗って運ばれ
てきたとき、デーヴァダッタは立ち上がって「ブッダに帰依しま
す。」と叫んだ。

そこでブッダは彼を僧団に迎え入れ、やがてデーヴァダッタは悟
りを得るであろうと予言したのであった。

僧団の外には嫉妬もあった。不可触民をはじめて帰依させたこと
は、正統バラモン教徒たちの間に激しい抗議をまき起こした。

そして、ブッダの名声が広まり、身分の上下を問わず多くの人び
とがブッダを尊敬するようになるにつれて、他の宗教家たちの間
に不安が増大した。その中の一部の者は、群集に訴えた。

「僧ガウタマだけがブッダだろうか。われわれはどうなのか。私
たちも悟りをひらいたブッダである。私たちにもブッダと同じよ
うに施しをし、尊敬せよ。」

しかし、これは効果がなかった。そこで、いつの時代にも、どん
なところでもよく見かけることだが、政治的陰謀の色濃い、もっ
と巧妙な手段がとられた。

ブッダがジェータヴァナの本部に滞在中、彼に対立する宗教家た
ちは二つの違った陰謀をたくらんだ。最初のたくらみは、チンチ
ャーという美しい若い女性がからんだものである。

彼女は出家して、遊行の尼僧の生活を送っていたが、わけあって
ブッダに対立する一派に恩義を感じていた。その一派は、チンチ
ャーをブッダの名声を傷つける手段にしようと考えた。

出家者にもかかわらず、彼女は世俗的な想像力を失くしていなか
った。一度陰謀に協力するよう説得されると、自分の役割を巧み
に演じた。

ブッダがジェータヴァナ僧院に逗留中、近くのサーヴァッティ市
に住む人びとは、毎朝ブッダにあいさつに出かけ、午後ふたたび
説法を聞きに行き、夕方家へもどるのが常であった。

チンチャーは派手な色の外套に身をくるみ、香水の匂いをプンプ
ンさせ、手に花輪を持って、毎日サーヴァッティからジェータヴ
ァナに向かって通いはじめた。




次回につづく


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テーマ:宗教・信仰
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
オスのほうが闘争を好む
昆虫のカブトムシもオスとオスがツノを突きつけて
相手を突き落とそうとしますしね、魚でも産卵場所
をめぐってオスどうしが戦います。

決して人間だけではないです。命を懸けて戦って
進化していくのでしょうかね。あのアホウドリみた
いに、恐れることもなくほのぼの~と生きていたら、
絶滅してしまうのでしょうか。



2008/09/06(Sat) 17:55 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
おはようございます。
今日の言葉・・心にしっかり刻んでおきます。

昨日のブログの内容から、どんな宗教も大きくなると、権力闘争が起きるのですね~。

嫉妬 不安 陰謀  お互い、きりのない世界を繰り広げていくのですね。やまんば思うに平和に暮らすより、こんな駆け引きがおもしろくて、次第に泥沼化し、とてつもなく惨めな惨状になるまで、行動するのが好きなのだろうか??と、ため息がでます。
偏見かもしれないけど、男性のほうが闘争するのが好むような傾向が強いと感じます。
犬を飼っていたとき、(やまんばの犬はオスでした)
散歩の時は遠くむこうからやってくる犬がオスかメスかは、我が家の犬の反応で一目瞭然でした。オスであれば、闘志むきだし。メスであれば、えらくやさしい声を発していました^^^程度の差はあるけど、そういうふうに生まれついてるのかなあ。(男性の方、犬と一緒にして、ごめんなさい)
まあ、犬も年をとってくると、どっちが近づこうと知らん顔でしたが・・・^^^。エネルギーが溢れているのですねえ・・・・エネルギーを上手に使っていただかないと、いつも弱い立場にいる人は巻き込まれますデス。
2008/09/06(Sat) 07:26 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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