2008年09月01日 (月) | Edit |
H. サダーティッサ著 桂紹隆・桂宥子訳「ブッダの生涯」立風書房より(32)


このとき、ヤソーダラーの目は涙でいっぱいになった。

彼女は続けていった。
「王子よ、黄金色の肌をして弟子たちにとりかこまれている
あの聖者は、あなたの父親です。昔はたくさんの財産をお持
ちでした。

あの御方のところへ行って言いなさい。『父上、私が王子です。
即位するとき、私は王中の王になりたく思います。私に財産を
譲ってください。父親のものは当然息子のものです。』と。」

ラーフラは、言われた通りにブッダに近づくと、
「父上、私はあなたの陰さえも慕っております。」
と少し大げさではあるが、尊敬をこめてあいさつした。


ブッダは食事を終えて立ち去ろうとしたが、ラーフラは後について
母親の指図通りに告げた。ブッダは答えなかったが、その子を追い
帰そうともしなかった。そして歩きながら考えた。

〈この子は私の財産を望んでいるが、それは俗世のもの、苦悩の種
にすぎな。そんなものよりずっとすばらしい財産、私が菩提樹の下
で得た、七種の尊い財産を与えよう。そうすれば、この子はすばら
しい遺産の相続者となるであろう。〉

そこでふたりが僧院に着いたとき、ブッダはウパティッサに、
ラーフラを正式の僧にするよう依頼した。

この知らせは、長年苦しみ悩んできたスッドーダナ王にとって、
さらに追い打ちをかけるショックであった。王はブッダのところへ
行き、今度は両親の許可なしに子どもたちを僧にしないよう、恭し
く、しかし強く懇願した。

「あなたが家を出たとき、私はたいへん悲しみました。ナンダが
出家したときも、悲しくて心が痛みました。それ以来、私はラーフ
ラに愛情を注いできたのです。しかし今、あなたはラーフラをここ
に連れてきて、僧にしてしまいました。」

ブッダはこの訴えを聞き入れ、その後は両親か保護者の承諾なしに
は誰も僧団に加わることを許さなかった。後になって、僧団に加わ
るための条件として、妻の承諾がつけ加えられる。

ラーフラは僧のまま留まり、ブッダが正直であることの大切さを
説く逸話で、重要な役割を果たしている。そのとき、ラーフラは
十一歳であった。

ブッダの教え方は、単に聖者が弟子に教えるというのではなく、
やさしい父親が息子を導く様子を彷彿とさせるものである。仏典に
よると、ブッダはひしゃくを手に取り、ほんの少し水を汲んで
ラーフラに言ったという。

「ラーフラよ、ひしゃくの中の水が見えますか。」
「はい、見えます。」
「ラーフラよ、、うそをつく人は、これくらいの善良さしかもって
いないのですよ。」

それからブッダは、同じことを違った方法で説明した。まずひしゃく
の水を捨てて、不正直な人がどのように美徳を捨てるかについて示し、

次にひしゃくを逆さにして、彼らが美徳などまったく気にかけないこ
とを示した。そして最後に、空になったひしゃくを不正直な人にたと
えた。ブッダはさらに、別のたとえ話をする。

「ラーフラよ、立派な象の姿を想像してごらんなさい。育ちがよく、
たくましく成長し、戦車の舵棒ほどもある長い牙を持ち、戦争の経験
も豊かな象を。



次回につづく


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ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
七種の尊い財産
ブッダがここで語っている「菩提樹の下で得た七種の尊い財産」
がどの教えのことを指しているのかはわかりませんが、その中に
十二因縁や四諦、八正道が含まれているのは間違いのないことで
しょう。

やまんばさん、「七種の尊い財産」は今までに語られた中にある
と思いますよ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E5%9B%A0%E7%B8%81



2008/09/01(Mon) 16:44 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
最高の愛の形を与えたのですね
この世の財産は苦悩の種にすぎない。そんなものよりずっとすばらしい財産を与えよう。私が菩提樹の下で得た、七種の尊い財産を与えよう。そうすれば、この子はすばらしい遺産の相続者となるであろう・・・・

聞いたぞ 聞いたぞ^^^^
もう別のところで紹介されているかもしれませんが、ろくろくさん、幸せに対して欲深なやまんばにもこの七種の財産を紹介していただけませんか^^^^
2008/09/01(Mon) 08:29 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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