2008年08月16日 (土) | Edit |
宇野千代著「天風先生座談」二見書房より (56)


この間うち、淡路島に行っていた。朝、宿の女中が、
「まァ、もったいない、先生。お客さまがそんな、
お床なんかたたんで、」

「冗談こけ、ゆうべ一晩、ゆっくりやすませてくれた
この布団に、お礼を言っているところだ。」

気が違ったと思っている。私が布団をたたんで、
有難うございました、というものだからね。

宿賃出したからには、この布団を敷いたりたたんだり
するのは当たり前だけれども、


私のように、ながい間、軍事探偵をしていて、
森の中や林の中でもって、何も掛けずに、何も敷かずに
寝ていた経験をもっていた人間からみるってェと、
現在の生活は、ほんとうに有難いですよ。

それをあなた方は、有難いとは思わないんだから、
金やって使ってる人間がするのは当たり前だ。
礼言うどころか、働きが悪ければ、すぐ叱りつける。

まァ、とにかくも、もう少し気持の中を鷹揚にしなさい。
出来るんだから。嘘でもいいから、
好いことは嘘でもいいから真似すればいい。

真似するくらいのことは出来るだろ。真似しなさい、
というんだから出来るだろう。ほんとうにはとてもなりきれ
ないだろうから、真似しなさい。

腹が立った場合にも、修養のできていない人間は、こういう
ときに腹が立つだろう。そこが、天風会員だ。こういうときに、
腹を立てちゃいけないんだ。

ああ、そうだ。嘘でもいいから、腹を立てまい。真似でもいい
からさ。これでいいじゃないか。

……
実はこの芦屋という市は、……
富める人の多い住民を、よけい持っている市であります。
……しかも、これも芦屋市民の誇りの1つとして、大いにプライド
されたいことは、外国人が日本に来て、都市研究や都市視察をする
のに、一番好適な町は、なんとこの芦屋だと、考えているのであり
ます。

その誇りある目標にされている市民の中で、特に、人生を考える
人々がここに集まっておられる。べつに芦屋市をおだてるわけで
もなんでもないんですよ。事実がそうだから申しあげておるんだ、
ねェ。

それは結局、この町が、他の都市に比較して、非常に富める人が多
い。町全体がリッチだと言っていいのであります。

さあ、そこで、すぐに考えていただきたいのは、町全体が富んでいる
芦屋市民諸君は、日本のどの都市の市民より、比較においてですよ、
非常な幸福を感じておられますか。

ノーでしょう。いいえ、でしょう。
顔を見ればすぐわかる、私には。



次回につづく


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コメント
この記事へのコメント
ふぐ
だはは^^

「ふぐ」ですか~すてきなあだ名ですね。
おまごさんにそんなことをいわれても、
わりと平気いられることがすごいことだと思います。

ほんとに恐いおばあさんだったら、
絶対にいえません。




2008/08/18(Mon) 17:59 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
気持ちの中を鷹揚にしなさい^^^^
普段は鷹揚な方だと思っていても孫がくるだけで、気持ちが乱れて「ふぐ」とあだ名がつくくらいですから^^^

しかし一旦気がつくと、心をみる習慣が戻り、「今自分は怒っている」と見えるだけでも、外部に対して平静な反応が出来るのは驚きでした。
2008/08/18(Mon) 08:37 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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