2008年08月06日 (水) | Edit |
H. サダーティッサ著 桂紹隆・桂宥子訳「ブッダの生涯」立風書房より(26)  


ブッダ 「しかし、もし君を棍棒や刀で襲ったら、どうか。」

ブンナ 「それでも善良で、紳士的な人びとだと思います。
    少なくとも、私の命を奪おうとしないからです。」

ブッダ 「しかし、ブンナ、もし殺されたらどう思うか。」

ブンナ 「それでも善良で、紳士的な人びとだと思います。というのは、
    この腐った屍(しかばね)のような肉体から私を解き放してくれる
    からです。私にしてくれたことに、感謝しなければなりません。」

ここでブッダはブンナの願いを聞き入れ、やさしい言葉で彼を送り出した。


「ブンナよ、君にはこの上ないやさしさと忍耐力が備わっている。
スナーパランタへ行って住みなさい。そして、君と同じように自由になる
にはどうしたらいいかを、人々に教えなさい。」

ブンナは感謝して暇乞いをし、故郷へ帰っていった。最初の雨季が終わる
までに、そこで五百人の弟子を集めたといわれている。

ウパーリやブンナの場合とはちがって、僧団に加わった多くの者は貧しい
下層階級の出身であった。なかでも賤民(アウトカースト)は、もっとも
貧しく、下級であった。

当時のインドにおける、仏教とバラモン教の根本的な違いのひとつは、
カースト制度に関するものである。職業の種類に基づくカースト制度に
によって社会を組織することは、中央アジアから進入してきたアーリア人
が、インドの土着民の間に住みついた頃にはじまる。

第一章で述べたとおり、おおざっぱに四つのカーストがまず確立された。
すなわち、バラモン(司祭階級)、クシャトリア(武士階級――ガウタマ家は
これに属していた)、ヴァイシャ(商人階級)そしてシュードラ(労働者階級)
である。

カースト制度からまったくはみ出た人びとが、賤民(アウトカースト)つまり
最下層の不可触民(アンタッチャブル)であった。彼らは、一般市民が住む
居住区の外にある特定地域(ゲットー)に住んだ。その唯一の職能はごみや
くずを処理することであり、目だたぬようにして生きていた。

しかし、カースト制度は、単なる社会構造ではなくて、バラモン教と密接な
関係がある。というのはバラモン教では、人があるカーストに属するのは
前世の自己の行い(業・カルマ)の報いである。と考えられていたからである。

各カーストにはそれぞれ、社会における役割と義務がある。しかし、不可触民
は社会の一部としてまったく認められていなかった。彼らの仕事は下水処理、
道路の清掃、動物の死体処理等もっとも人のいやがる仕事であった。

また、カースト制内部の人、特にバラモンに近寄ることは固く禁じられていた。
今日でもインドには、不可触民の影がさすだけで穢れたと考える因習的な
バラモンがいる。

しかし、仏教は最初からすべての人のものであった。



次回につづく


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コメント
この記事へのコメント
あたりまえ
ブンナはブッダの教えを故郷で広めるためなら
「たとえ殺されても、感謝しなければなりません」
と答えるのですから、完全に覚悟ができていた。

ブッダの教えにより、悟ることができたのですね。



若くしてガンを患い、そして亡くなった
医師井村和清さんの言葉をどうぞ


「あたりまえ」


あたりまえ
こんなすばらしいことを
みんなはなぜよろこばないのでしょう
あたりまえであることを

お父さんがいる
お母さんがいる
手が2本あって、足が2本ある
行きたいところへ自分で歩いてゆける
手をのばせばなんでもとれる
音がきこえて声がでる
こんなしあわせはあるでしょうか

しかし、だれもそれをよろこばない
あたりまえだ、と笑ってすます

食事がたべられる
夜になるとちゃんと眠れ、そしてまた朝がくる
空気をむねいっぱいにすえる
笑える、泣ける、叫ぶこともできる
走りまわれる
みんなあたりまえのこと

こんなすばらしいことを、みんなは決してよろこばない
そのありがたさを知っているのは
それを失くした人たちだけ
 なぜでしょう
 あたりまえ



井村和清「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」 1980年 祥伝社


2008/08/06(Wed) 17:42 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
この上ないやさしさと忍耐力
やまんば、きのうの続きの答えを聞いて、うなだれ涙しました。
まだ数人の方の葬儀にしか、参列したことはないのですが、お別れの時、心に浮かぶ言葉の一つは「ご苦労様でした。」です。布教で殺されても「この腐った屍のような肉体から私を解放してくれるから、ありがとう」ブンナさんの言葉に、なるほどなあと頷きました。
ろくろくさん、昨日の紹介のページ開いてみましたよ。「悟りをひらく」と「村人たちの誹謗」に気が惹かれました。「悟りをひらく」は絵と言葉の美しさに。「村人たちの誹謗」は人間の醜さに。
イコン画もそうですが、いつ誰の手により描かれたものか?名も知れずに、何年か経てこうして見させていただけることに感謝です。ありがとうございました。
2008/08/06(Wed) 17:05 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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