2008年07月04日 (金) | Edit |
H. サダーティッサ著 桂紹隆・桂宥子訳「ブッダの生涯」立風書房より(13)


ガウタマは、精神力も試した。新月と満月の夜、
怪しげなものが出没する恐ろしい時刻に、
ひとり墓場に出かけてすわった。

そして、獲物を求めてあたりを徘徊する野獣の
恐怖にもしりごみしなかった。

その間、彼はずっと瞑想を続けたが、
まったく無益であった。

苦行は決して自分を悟りに導かないと気づくまでに、
ガウタマは六年の歳月を費やしたのであった。


そしてついにある日、
精根尽き果ててたおれてしまった。

幸いにも羊飼いが見つけて、ミルクを与え彼を介抱した。
羊飼いのところにしばらく留まって、かつての健康と
たくましさをとりもどすと、ガウタマはふたたび五人の
仲間のところへもどっていった。

仲間たちはその間も苦行を続けており、
ガウタマがそれを放棄したことを知ると、
ショックを受けた。

いっしょにやりとげようと誓い合った修行への裏切りと
いえなくても、それは挫折とみなされたにちがいない。
事実たいへん立腹した彼らは、もはやガウタマを相手に
せず、彼を残して出発した。

しかし、ひとり残されたガウタマは、その肉体が、ふたたび
本来の黄金色とりもどし、ブッタになるべき運命を示す三十二相
がはっきり現れるまで、体力増強に励んだといわれている。

その頃、このあたりにスジャータという金持ちの娘が住んでいた。
たまたま身ごもっており、もし男の子が生まれたら、近くの
パニヤンの木の神に特別なごちそうをこしらえて供えようと誓い
をたてていた。

パニヤンは、気根が幹に成長し、次々とふえ広がるので、昔から
インドでは神聖な木として崇められている。おそらく太古の昔から、
精霊崇拝の対象であったにちがいない。

やがてスジャータは男の子を出産した。そこで、神に捧げる食物を
準備する複雑な儀式がはじめられた。

まず、百頭の牛の乳を絞り、これを五十頭の牛に飲ませる。
それから五十頭の牛の乳を二十五頭の牛に飲ませる。
この〈乳仕事(キーラ・カンマ)〉という濃縮作業をくり返して、
ついに八頭の乳が残されるまでになった。

この濃く栄養のある牛乳で、一滴も煮こぼれたり、無駄になったり
しないように気をつけながら、特別の鍋を使って米を炊く。

最後にでき上がったものを、金の器になみなみとあける。
そこでスジャータは、召使いをパニヤンの木の所へやり、
儀式の準備をさせた。

一方ガウタマは、たまたまこのパニヤンの木を見つけて、
その下にすわり瞑想していた。その木に近づいた召使いは、
黄金色に輝く者がじっとすわっているのを見て驚いた。

急いでスジャータのもとへもどり、神がみずから供物を受け取る
ために現れたと興奮しながら告げた。もちろんスジャータは、
きれいな絹のおおいをかけた乳粥(キーラ・パーヤーサ)の器を持って
急いでかけつけた。

そして、朝日の中で黄金色に輝く者がすわっているのを見て、同様に
驚いた。スジャータは、召使いのように軽々しくその者を神とは
信じなかった。しかし、畏敬の念にうたれ、ガウタマに供物を捧げ
ながら言った。

「尊者よ。あなたが誰であれ、神にせよ、人間にせよ、どうかこの
乳粥をお受け取りください。そしてどうか、あなたの目指す目的を
達成されますように。」

ガウタマに供物を捧げると、スジャータは恭しくおじぎをして、
高価な器のことなど気にもかけずに引き下がった。



次回につづく


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コメント
この記事へのコメント
暑い一日でしたね。
忙しい日でした。昨日のろくろくさんの紹介された、「理趣経」と「釈迦苦行像」どちらも朝、印刷しました。夕方の今、やっと落ち着いてコメントしています。
内容が多くてまだ、理趣経は始めのページをチラッとみただけです。が、欲にはプラスとマイナスの要素があり、やはり、やまんばは欲にどっぷり浸かりながら それと気づかず、欲をマイナスのほうに捉えていたと思います。
この点も、なるほど~~~と感心しております。

欲望は浄らかなり・・とはじめにかかれているけど、好き勝手に貪るのとはちがうのでしょうね。そのけじめにもきっと法則があるのでしょうね。でないと、滅茶苦茶な世の中になってしまいますものね。

また、釈迦苦行像には驚きました。もうとっくに棺桶に入っていてもおかしくないようにやせこけておられたのですね。血管まではっきり見えるのですね。悟りたい!という欲もおそろしいことですね!
こんなゴウダマさんが精神力を試すために、お墓におられたら、むこうのほうがこわがって逃げていくことだろうなあとやまんばはふざけではなく、本当にそう思いました。
続きはゆっくり読ませていただきます。ありがとうございました。
2008/07/04(Fri) 18:58 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
「アーミッシュの赦し」
なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか
ドナルド B.クレイビル (著), 青木 玲 (翻訳) 亜紀書房 (2008/04)

顔が見えないように?後ろ向きに撮られた二人の婦人の写真。
本屋を散策していて、目に飛び込んできたのがこの本でした。

本の帯には、

「06年10月2日、銃乱射で女生徒5人死亡、5人重傷、
年長の少女は「私を撃って」と名乗り出た。
しかもコミュニティはすぐに犯人とその家族を赦した。
賞賛と同時にさまざまな論議を呼んだ衝撃の事件の全貌を記す。

世界に衝撃を与えた"赦し”の背景を探る
全米ベストセラー!!」

とある。
さっそく「アーミッシュ 襲撃事件」などで検索してみました。


米東部ペンシルベニア州で2日、キリスト教の一派アーミッシュ運営の学校が襲撃された事件で、殺害された女児(13)が年下の子どもを逃がそうと「自分を先に撃ってください」と容疑者の男(32)=犯行後に自殺=に申し出ていたことが7日、生存者の証言で分かった。

暴力を否定するアーミッシュの人々の独特な考え方を米メディアは驚きをもって伝えている。

米メディアが住民らの話として伝えたところでは、この女児の妹(11)も自分を撃つように男に訴えたという。妹は撃たれて肩などを負傷した。

事件後には、男の妻や3人の子どもが多くのアーミッシュの人々に抱擁される場面もあったほか、男の妻は犠牲者の葬儀に招かれたという。出席したかどうかは不明。

児童に対する暴力の専門家はAP通信に、アーミッシュの許しの文化が生存者の癒やしにつながると指摘した上で、復讐(ふくしゅう)を求めるより許す方がはるかに大切だと語った。


殺害された女児(13)が年下の子どもを逃がそうと
「自分を先に撃ってください」と容疑者の男に申し出ていた
というのが衝撃的ですね。


知識の泉 Haru’s トリビア
http://amor1029.exblog.jp/4457962/

4人射殺、犯人は自殺/米のアーミッシュ学校襲撃
http://www.shikoku-np.co.jp/national/main/print.aspx?id=20061003000243

アーミッシュ学校襲撃犯の妻、住民の許しに感謝
http://clipmarks.com/clipmark/C07E7DBB-A145-4751-970F-FFBC00C3E779/

大紀元時報-日本
http://jp.epochtimes.com/jp/2006/11/html/d76374.html


2008/07/04(Fri) 18:42 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
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