2008年06月14日 (土) | Edit |
宇野千代著「天風先生座談」二見書房より (33)


病は薬よりも、まず心だよ。
病を気にしているかぎりは、永久になおらねェ、  
ということを、パリの医者だけは言ってくれた。

日本の医者は絶対にそうは言いません。
日本の医者は曖昧なことをいうのが得意であります。

診察して帰りがけに、相手がお金持ちで、金払いが
よければよいほど、医者だか幇間だか分からないほど
頭を下げて、「お大事に、」という。


そのとき、なぜきかないんですか。
「ちょっとお待ちください。お大事っておっしゃるが、
どういうふうにするとお大事になるんでしょう。

わが子、わが嫁、わが孫である以上は、大事に思って
おりますが、なお、よりいっそう、大事にするにはどう
したらいいでしょう。」と言ってごらん。

「それは日本人の挨拶でございます。とにかく、お大事に。」
このお大事にという言葉くらい、言いまわしにごまかされる
言葉はないな。

そういう場合に、天風会の医者なら、「そんなに、病人に神経を
立たせないようにな。はたの者が、また、あまり病を恐れないよ
うに。病は気からと言いますからな。私は最善をつくしますから
ご安心ください。では、また明日。」

これが本当の挨拶だ。「お大事に、ありがとうございます。」
なんだこれは、金語楼のコンニャク問答だ。

さて、しかし、自分の問題になると、私が一番こまったのは、
病を気にするなと言われても、人の病じゃねェじゃねェか。

現在俺が病にかかって、脈が切れたり、息苦しくなったりする
のを、気にするなと言っても、気にしないでいられるかい。

隣りのばあさん、じいさんがわずらっているんじゃない、
俺の体じゃないか、という奴がある。

私なんて、自分でも言いにくいほど恥ずかしいことをしていたよ。
夜中に目が覚めたらすぐ、脈をさわって見る。

目が覚めたのは生きているから覚めたんで、何も脈をさわらなくて
もいいじゃないか。わかりきったことだよ、これは。

死んでりゃ目が覚めない筈なのに、目が覚めたんだから、
ああ生きていたかと思って、そのまま寝ちまえばいいのに、
改めて脈をとって見てやがる。馬鹿だよ、この男。

それだけで済めばいいけれども、目が覚めたついでだから、
といって、熱をはかったりしてね。

しかもそれが、文化民族の非常にすぐれた衛生思想だと思ったんだ、
この阿呆。ただの阿呆じゃない。ただの阿呆じゃないのを、
大阪の言葉でアホンダラと言います。

私のことだけを言っているんだと思うと、あなた方、好い気持ち
だろう。おのれのことを言われているのがわからねェ。それが
ほんとのアホンダラだ。しかし、求めよ、さらば与えられん。

十年の苦心むなしからず。あるとき私は、フッと偶然に心の働きを
支配している中枢神経が何であるかを研究する気持ちになって、
心の働き一切をつかさどっている中枢神経がサセプティビリティズ
ということがわかった。

日本語で書くと、感応性能。

そうして直ちに、わが心、わが命が、わがものでありながら
思うようにならないのは、いつの間にか、感応性能の働きが鈍って
しまったからだということが、発見されたのです。



次回につづく


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ジャンル:心と身体
コメント
この記事へのコメント
癌ノイローゼ
この続き、とても楽しみです。

実は、やまんばは20代に癌ノイローゼにかかりました。
毎日下痢はするし、毎日熱を計るのです、かならず37度と少しの微熱があり、体重ももちろん どんどん下がりました。病院をいくつか変えて検査するのですが、別段異常はありませんでした。それなら、私の体の症状はどうしておこるのか?
どこの医者もやぶ医者だ!
名医はいないのだろうか?^^本気でそう思ったのです。
そんな状態が一年くらい経ったころ、ふと、思ったのです。「あれ?おかしいな?まだ私は死んでない。癌なら末期症状か死んでるくらいなのに、生きてる!」そう気がついたのです^^。すごい思い込みでしょう^^^^。
それから、一切熱も計らなくなりなりました。家庭の医学も読まなくなり、医者にもいかなくなりました。
いつのまにか下痢もしなくなり、いつのまにか57歳の今日まで、元気で生きているのです。ほら、こんなに^^。ちょっと中古になりましたが・・・^^。

心と体は全く不思議な関係です。
2008/06/15(Sun) 05:37 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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