2008年06月13日 (金) | Edit |
宇野千代著「天風先生座談」二見書房より (32)


あわて者の私がその先覚者だ。
そっちのことにちっとも気がつかない。

それをインドの聖者から、
お前は自分の体のことばかり考えて、

つまり、川上のことはそっちのけで、
川下だけを掃除しようとしている。

そのことを教えてやるから来い、
と言われて連れて行かれた。


ところが、教わったには教わったが、そして、
よほど大切なものだということはわかったが、

その大切な心は、ではどうすれば俺の思うとおりに
大切にあつかうことが出来るかという問題に、
はたと困って十年。

何とあなた方は仕合せだ。
それをこれからすぐ教わるんだ。

わかってしまうと、天風、阿呆かいな、
と思うだろうけども、
何と言われてもわからなかった。

どう考えても、何故かいな。
こういう場合にこういう気持ちではいけないんだ、
ということは、先般承知していながら、

いざとなれば、尊からず、強からず、正しからず、
清からず、いつもあとから、ああ、あのとき、
自分ながら卑しい気持ちを持ったな。

どうしてもっと強くなれないのか。
自分でも愛想がつきるくらい正しくないことを考えたり、
というようなことはしじゅう。

あなた方はどう。
私はね、いまだにときどき、そういうことがあるのよ。
ただ、いまはそれにとらわれないだけのことだ。

こういうことを知らねェ自分てェものは、組んずほぐれつだ。
尊からず、強からず、正しからず、清からずと、心の中で
しょっちゅう組み敷かれていた。

そうして、これじゃいけねェ、これじゃいけねェということ
だけを考えていても、そう思った瞬間に、もういけません。

また、すぐに、尊からず、強からず、
一番さきに困ちゃったのは、
これはほんとうに困った問題です。

病を気にしちゃァいけないということは、
フランスのパリにいる時分から知ってたよ。

また、いずれ折があったらお話しするけどもね、
フランスはさすがに心理学の国だけあって、医者を始めとして、
病は薬よりも、まず心だよ。

病を気にしているかぎりは、永久になおらねェ、
ということを、パリの医者だけは言ってくれた。



次回につづく


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