2008年06月05日 (木) | Edit |
H. サダーティッサ著 桂紹隆・桂宥子訳「ブッダの生涯」立風書房より(4)


当時の貴族の間で一夫多妻はめずらしいことではなく、
マハーパジャーパティもスッドーダナ王の妻であった。

経典によると彼女自身、マハーマーヤー王妃の
亡くなった日に子どもを出産している。

しかし、自分の息子は乳母にまかせ、
実母が子どもに注ぐすべての愛情をこめて、
シッダールタを実の子同然に育てたのであった。

数年して、シッダールタは学校へ入り、
他の貴族の子弟と交わるようになった。
シッダールタの才能は、ただちに教師たちを驚かせた。


王子は、語学や数学をはじめ、さまざまな科目をまたたく
間に習得した。また、格闘技や弓術のようなスポーツにも
堪能であった。

すべての点で学友より抜き出ており、教師がおしえないこと
さえもやってのけた。背は高く、頑強で、容姿端麗であり、
その礼儀正しさとやさしさで、皆から愛された。

毎年サキャ族の国では、鋤入れ祭が催された。おそらくそれは
五穀豊穣を祈る、主として宗教的な儀式であったと思われる。

王みずからが、角に金の飾りをつけて金の鋤を引く二頭の雄牛
を最初に追う。そして次に、貴族たちが銀の引き具をつけて
銀の鋤を引く雄牛を追うのであった。

シッダールタが七歳になったとき、王はこの鋤入れ祭につれて
行った。祭りの間お付の者たちは、ほとうの木の下に特別に
用意長椅子で王子を休ませた。

すわっているうちに、王子は祭りのことはすっかり忘れ、瞑想
にふけり、まるで熟練した修行者のように呼吸を調節し、ついに
忘我境に入った。それは、彼の生涯における最初の不思議な体験
であった。

しばらくしてお付の者たちがもどって来たとき、王子は周囲の
環境を超越し、法悦境にあった。王子には、時間が停止していた。

あたかもこれを裏付けるかのように、王子のすわっていたほとうの
木の影は、お付の者が離れてからもどるまでの間まったく動いて
いなかった、と記されている。

知らせを受けた王は、我が子の非凡さを示す証拠を見るために
駆けつけたという。

幼い頃、シッダールタは、従弟のデーヴァダッタといっしょに森を
歩いていた。デーヴァダッタは後に仏教僧団が確立されたとき、
ひと悶着を起こす人物である。

弓矢を持っていたデーヴァダッタは、頭上に白鳥が飛ぶのを見つけ
ると、ねらい定めて矢を射った。ふたりの少年は鳥が落ちたところ
へ急ぎ、シッダールタが先に到着した。

白鳥がまだ生きていたので、シッダールタは翼から矢を静かに抜い
てやった。それから木の葉を採り、その汁を傷口に絞って出血を
止め、さらに脅えている鳥をなだめるよう努めた。

デーヴァダッタは白鳥を渡せと求めたが、シッダールタはことわる。

「もし白鳥が死んでいたら、君のものであろう。けれど、白鳥は
傷ついているいるだけだ。命を救ったのは私だから白鳥は私のもの
だ。」



次回につづく


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テーマ:仏教・佛教
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