2008年06月03日 (火) | Edit |
H. サダーティッサ著 桂紹隆・桂宥子訳「ブッダの生涯」立風書房より(2)


ブッダの生涯についてひき続き述べる前に、
歴史的な背景に少しふれておこう。

当時、今から二千五百年ほど前の北インドでは、
中央アジアから進入してきたアーリア人が定着し、
すでに複雑で洗練された文明を、高度に発展させていた。

〈ヒンドゥ〉という語はずっと後に造られたものであり、
当時はなかったものだが、いわゆるヒンドゥ社会の主な
要素は確立していた。

そのうち、もっともはっきりしていたのは、
カースト制度である。


インドには実に多くのカーストがあり、
伝統的には次の四つのカーストに分類される。

頂点にたつバラモン階級は、祭官となる権限をもち、
宗教的知識の保持者であった。

次のクシャトリヤ(武士・王族)階級は、普通支配者となり、
社会を統治し保護する責任をになった。

その下のヴァイシャ(商人・庶民)階級は、経済活動を行い、
最下層のシュードラ階級は、重労働に従事する職人・労働者
召使いなどであった。

ブッダの生家は、クシャトリヤ階級のガウタマ氏に属していた。
クシャトリヤ階級は貴族や社会の支配層を構成していたが、
精神的な指導権はバラモン階級に握られていた。

当時の宗教がバラモン教と呼ばれるのは、このためである。
王族は、バラモンたちに宗教的な儀式を依頼するだけでなく、
統治上の忠言や指導もあおいだ。

誇り高いスッドーダナ王も息子の将来を案じ、その運命の鍵を
知りたいと思った。したがって、ブッダの幼年時代にバラモン
たちがしばしば登場するのは不思議なことではない。

王子の誕生を祝って宮殿へ駆けつけた人びとの中に、知慧と
天眼通で有名なカーラ・デーヴァラ(別名アシタ)なる仙人が
いたという。

「スッドーダナ王の子息は並はずれた人物になるであろう。」
と最初に予言したのは、カーラ・デーヴァラであった。

生まれたばかりの王子に敬意を表わそうと宮殿を訪ねた
カーラ・デーヴァラは、シッダールタを見てまず微笑み、
それから泣き出した。驚いたスッドーダナ王はたずねた。

「なぜ泣いておられるのですか。何か不吉なことが、
この子に起こるのでしょうか。」

「いいえ。私が微笑んだのは、将来必ず〈完全に悟りをひらいた者〉、
ブッダとなる御方にお目にかかる光栄を得たからです。ある特別な
相から私にはそれがわかります。

しかし、私自身の行く末を考えてみますと、生きながらえてこの御方
の教えを聞けそうにありません。だから涙がこぼれてきたのです。

喜びなさい。王様。あなたのご子息は、
この世でもっとも偉大な人物になられるでしょう。」



次回につづく


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テーマ:仏教・佛教
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