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2008年05月07日 (水) | Edit |
河合隼雄著「老いのみち」読売新聞社より (75)


名古屋で精神科を開業しておられる大橋一恵
先生が老年期について論じるなかで、

次のような例を発表しておられる(岩波講座 
精神の科学6『ライフサイクル』)。

七十歳の女性が五十年前に人を傷つけるような
行為をしたため、最近になってそのことを
人から責められて困る、という訴えで来診された。


「人から責められて」というのはこの人のまったく
の思い過ごしで、他人の行為を勝手に自分で解釈して
悩んでいるのである。

老人になってこのような「妄想」に苦しめられることは
時々あることだ。

五十年前の悪事というのも大したことではなく、
近隣の人のもめごとがあったときに無記名の手紙を
出したということだった。

しかし、この人はそれを自ら恥じて、その後もそのことを
何度も思い返しつつだれにも言わずに生きてきたが、
この年になって耐え切れなくなったのだ。

治療者の慰めと励ましによって、この人はその秘密を夫に
話された。「夫は聞いてくれただけでなく、夫の苦しみ
なども聞く機会になった。

夫婦でいながら互いにやはり一人一人苦しみを背負った
人間だと思った」と話され、よくなられた。

人間にとって秘密というものは不思議なものだ。
それをかかえて頑張ることが支えとなるときもあるし、
それをだれかに打ち明けることによって支えを得ることも
ある。

ただ、いつ、どこでだれにというところが
難しいことのようである。




次回につづく


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テーマ:哲学/倫理学
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
秘密
最近、結婚した知人がいる。
早速お祝いのメールを送ったところ、
新婦のほうからお礼のメールが届いた。

メールを出したのは新郎の方にである。
いくら新婚といっても、本人から返信メール
を寄こすのがマナーであろう。

しばらくして、その新郎から自分の親族のことで
相談のメールが届いた。

私はこの相談メールのアドバイスを逡巡している。

新郎の親族の内密な話が、そのまま新婦にも覗かれ
ているかもしれないとすると、うっかりとしたこと
はいえないのである。

「二人の間にはまったく秘密はありません。」などと
愚かなことを約束するカップルがあるが、自分で自分の
首を絞めているということが、何故分からないのであろう。


2008/05/07(Wed) 18:17 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
秘密の色???
「秘密」にしても「思い過ごし」にしても、自分の中だけの世界だから、案外 人に話すと、随分些細なことを、たいそうなことに思っていたことに気づいたことがあります^^。それが長く続くと性格の一部になっていたりして^^・・・。体をトータルな一つの色に置き換えたりしたら、(またそれが見える人がいたりしたら)病気の部分や秘密の種類や度合いで、ある部分色が変化してみえたりして・・・。想像するとおもしろいです。

秘密は口から出すとシャボン玉のようにはかなく消えてしまう。

「人間にとって秘密というものは不思議なものだ。
それをかかえて頑張ることが支えとなるときもあるし
それを誰かに打ち明けることによって支えを得ることもある」
凸と凹ですね。秘密を打ち明ける人と聞く人は、出会うと案外互いにとって、精神のバランスを得るのかもしれない。
相手が誰でもいいってことはないから・・。
人間はみんな、すごい機能をもっているのですね。この人なら・・・とわかるセンサーをもっているのだから。
すばらしい!

昨日は時間ができたし、気分もゆっくりしたので紹介されたビデオをみました。
* アズールとアスマ-ル・・・とにかく映像が美しい
* 幸せのレシピ・・「心を開け」印象に残った言葉。
* かもめ食堂・・こんな食堂でごはんが食べたいなあ
         コーヒーの入れ方、興味あり!
* 藍色夏恋・・希望を持つことの大切さを感じました
興味があった「ガラスの靴」「魔法の剣」はありませんでした。また、別のところでみつかるといいな。
映画って楽しいな。  
2008/05/07(Wed) 07:11 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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