2008年04月22日 (火) | Edit |
宇野千代著「天風先生座談」二見書房より (20)


名月の一夜、おもてに出て、
天空はるかに眼を放って見ると、
何ともいえない神秘感に打たれる。

あの天空を見ていると、どこが果てか、
果てしが分からないんですが、

弧を描くあの天空の、
さなきだに爛々ときらめく星のかずかず、

皓々と三千世界にほくそ笑みかけて隈なく
照らす月を見たとき、どんな蒙昧、頑固な
奴でも、何てこの、大宇宙てェところは、
これァ、まァ、広い世界だわな。


どこが果てやら果てしやら、まったく極りない無限際。
おまけに春が来、夏が来、秋が来、冬が来て、気候の
変わり目に、現象のすべてが変るそのうえに、

毎日は夜が来て、朝が来て、昼が来て、夜が来て、また
朝が来て、昼が来る。水が冷たく、湯が熱く、冬が寒くて
夏が暑い。

春になると、いままで枝ばかりだった木に、青い葉が出て来て、
「染め出だす、人はなけれど春来れば、柳は緑、花は紅。」
ああ、不思議だな。

それがすべて、水素ガスがエネルギー体に変化して現れた、
現象事実だということがわからなかった時代には、
まったく何かというと、神さま、仏さまとなったわけです。

二百余年前の大詩人のゲーテは哲学者でしたが、
こいつは考えられなかったらしい。彼の有名な詩に、
こういう一節があるのを誰でも知っているだろう。

「潺々(せんせん)として流れ尽きざるナイルの河畔、
夢むらさきとゆたけきナイルのほとり、
黙然として立つ彼のスフィンクスの彫像が、
問えど答えぬ限りは、神なるものは永遠の謎であろう。」

うまく逃げたね、ゲーテ。スフィンクスは私も見ました、
エジプトで。ところがあれ、誰がどの時代に建てたものやら、
誰も知らない。

西暦千六百、たしか、十年からでしたな。イタリアの人が三代
かかって、あの根元を掘ってみたという。親から子から孫へ。
そうして、結局、根元がわからない。

三代目の孫の人が六十になったとき、何でも二十のとき掘りだし
たというんだから、四十年掘ったんだ。気の長げェ奴もいるもん
だ。

おそらく、スフィンクスというのは、地球の根っこから生えてる
んだろう。」ということになって、やめちゃった。

そのスフィンクスに、お前はいったいぜんたいいつの時代に、
誰が建てたんだということをきいてみても、俺かい、俺はこれこれ
しかじかと、スフィンクスの答えるのを聞かないかぎりは、

神さまとというものはわかりゃしねェだろう、という、彼一流の
名文でもって、ゲーテは表現していますけれども、それが二百年
と経たない、百五十年経ったころに、

同じお国のプランク博士によって、何んじゃい、
一切合財が水素ガスだい、ということがわかった。



次回につづく


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コメント
この記事へのコメント
「あさのあつこ」さんの本は、
わたしの場合はどの本も読み始めのあたりは、
油断してしまいます。

決してバカにするのではないけれど、
時間がもったいないかなぁと思っているうちに、
ズルズルと引き込まれて行き、気づいたら
最後まで読んでしまったぁ~となるんです。

人間関係がうまくいかない子(人)が出てきて、
その子の常識的でないところを、
しっかりすくい上げてくれたりする。

「それでいいんだ」と納得させてくれる。

誰にも世間からはみ出た部分、
非常識なところがありますから、

そういったところが読んでいて
うれしくなるのだと思います。



2008/04/22(Tue) 20:00 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
何んじゃい
「一切合財が水素ガスだい、ということがわかった」

「だからどうしたんだい」と天風先生に言いたい
ところですが、

つづきは三週間後まで待たなければなりませぬ。

次回はいよいよ具体的な方法が語られます。
ご期待ください!m(u_u)m



2008/04/22(Tue) 19:55 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
続きを楽しみにしています。
世界にはたくさんの不思議が転がっているのですね^^。遙か昔の人はみんな超能力の持ち主だったのかなあと思うほどです。

ろくろくさん、やまんばは「あさのあつこ」さんの名前、はじめて知りました。最初女優さんかなあと思ったくらいです^^。たまたま映画「バッテリー」をみたことはあるのですが・・・。作者の名は気が付かなかったです^^。本当にやまんばは世間を知りません。いつかまた読ませていただきますね。
2008/04/22(Tue) 07:05 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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