2008年04月18日 (金) | Edit |
宇野千代著「天風先生座談」二見書房より (16)


あなた方。朝、眼がさめるのは
当たりまえだと思っているね。

それが当たりまえでない証拠に、いつか時が来れば、
どうしても眼のさめない朝が来る。
それは、あっちへ行っちまうことになるんですよ。

よく考えなさいよ。あなた方が夜ねて、
朝おきるまでは、何も知らない筈だ。

たとえ、夢見がちであるにせよ、昼間、こうやって
起きているときのような、こんな明瞭な意識では
生きていません。


生きていませんという言葉は、死んではいない、
ということです。ただ、ぼうっと、何も知らずに
生きている。

どんなによく寝ているときでも、
ものを知っている人は手をあげてごらん。
そいつは化け物だ。

それは、誰かあらず、人かあらず、眠いな、と思った
瞬間はいつか過ぎて、パッと眼があいたら朝だった。
その間、あなた方は死んでいない。生きている。

どんな器用な奴でも、寝ると同時に死んじゃって、
朝、眼がさめると生き返る、という奴はいない。
寝ている間も生きている。

その証拠に、寝ている奴を見てごらん。
生きている証拠の、一番シンボリズムである呼吸を
しています。

どんな無精な奴でも、こん畜生、よく寝てるな。
息していねェや、というものはいないです。
それから心臓が動いている。手をやって見ると、
すぐわかる。

その、何も知らないでいて、自分で自分の生命をまもる
という意識、感覚のないときに、生きているその命は、
あれは何の力でしょう。考えたことがあるかな。

これがないんですよ。すくなくとも、私は考えたことが
なかった。しかも医学を研究し、アメリカの医学博士の
学位を持っていながら、そいつは考えなかった。

この力を、ドイツ語で、デル、ナツール、ヘルトリーブ
と言うのであります。

お医者さん。よくご存知ですな。お医者さんはすぐわかるよ。
この言葉を言うと、頷いているものね。デル、ナツール、
ヘルトリーブ。英語のナチュラル、ヒーリング、パワー。

それがわれわれの生命の、生きている間は守り神として、
われわれを現実の世界に生かしてくれている。

心と体を別々にすると、これを受入れる受け入れ量が、
完全に用意されないことになっちまうんですよ。
こいつに気がつかなかった。

偉そうな顔をしゃァがって、しかも言葉の違うアメリカの
コロンビア大学を首席で卒業して、多くのアメリカ人を
尻眼にかけ、卒業と同時に、その日に医学博士になったんだと、

こいつが頭にあるものだから、それ以外のことは考えないで、
俺くらい偉い奴はいない、と思った。この馬鹿め。



次回につづく


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ジャンル:心と身体
コメント
この記事へのコメント
ナチュラル、ヒーリング、パワー
日本語では「自然治癒力」ということでいいのでしょうか?

でも中村天風先生のこの
ナチュラル、ヒーリング、パワー=デル、ナツール、ヘルトリーブ
は、ちっと微妙に「自然治癒力」とは違うように思いますね。


自然治癒力(しぜんちゆりょく、spontaneous cure)とは、
人間・動物などの心身全体が生まれながらにして持っている、
ケガや病気を治す力・機能を広くまとめて指す表現。手術を施したり、
人工的な薬物を投与したりしなくても治る機能のこと。

とウィキペディアにありますが、微妙な違いはこれから
「天風先生座談」を読み進めていくなかでご理解いただけるものと
思います。


深呼吸をしながら、いまここの自分に立ち戻る。
「息を吸って、私はしずか、息を吐いて私は微笑む」

そして「自分を他人のように見る」・・・

まるで電車に乗って目の前の座席に座っている赤の他人を
見るみたいに、冷ややかに自分を観察する。
とても大切なことですよね。


2008/04/18(Fri) 18:09 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
守り神
やまんばもここに来て、自分を他人のように見る・・ことを教えられ、思い出しては実行しています。一瞬でたくさんの情報を処理し、行動にうつしたり、意識しようがすまいが、きちんと呼吸して、体の健康を維持してくれているこの巧妙な体に、いつも驚きと感謝で心がいっぱいになります。

ろくろくさん、昨日のコメントの紹介されたところを開いてみました。赤い服を着た少女が花園の入り口の鍵を開けようとしている絵が気に入りました。カラーで印刷しましたよ。ありがとうございました。
2008/04/18(Fri) 08:57 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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