2008年04月15日 (火) | Edit |
宇野千代著「天風先生座談」二見書房より (13)


「これはしたり。全然、話が違います。
私は来た日から教わりたくて、教わりたくて、」

「お前はね、気持ちをそういうふうに偽って言うが、
私の霊感にうつるところは、お前はまだ、ほんとうに
教わる準備ができていない、と見るよ。」

「いや、その準備は出来ています」

「ああ、お前は強情だな。おまえ自身の心の中は、
おまえ自身より、私の方がよけい知っている。
その証拠は、すぐ。見せてやる。あの水を飲む器に、
水をいっぱい注いでおいで。」


日本にはないのですが、
コーヒー茶碗の両方に手のついたような、大きな、
丼くらいの大きさの水飲みがあるのです。

非常に空気が乾燥していますから、
夏のどんな暑いときでも、汗の出ない国であります。
アメリカがそうですわな。

夏、汗が出ないというのは、何となく、こう、
日本人は経験しないで、妙な気持ちになるもんですが、

いたるところに、ちょうどいまの魔法壜みたいに、
素焼きの、二重になった丼が置いてある。
どんな暑いときでも、その丼の中の水だけは、
冷やっこい水なんです。

言われるままに、その丼のようなコップにいっぱい水を
注いで、それを持って来た。

すると、また、こんどは、
「湯をいっぱい持って来い。」

それでまた言われるままに水をそこに置いて、
また湯を持って来たら、
「その湯を水の上から注げ。」

あんまり馬鹿馬鹿しいことなんで、
私はこう言ったんですよ。

「このお国ではどういうふうに考えているか知りませんが、
文明の民族は、いっぱいはいっている水の上から湯を注ぎますと、
両方ともこぼれる、ということを知っております。」

と言ってやった。癪にさわったからね。
これが、私の悪い癖なんだ。

なぜ悪い癖かというと、俺は文明の国民だと、
しょっちゅう腹の中で思っているんだな。

こんな草深い、どこまで行っても家一軒もないようなところで、
たいていの奴は裸足で、裸で往来へ寝そべっているような人間
ばかりじゃないか、と思っている気持ちがあるから、

たとえどんな、相手が偉いと思う人にでも、つい、こんな、
いま言ったような皮肉なことを言っちまうんです。

そしたらね。
「それを知ってるのか。」
と言いやァがる。

「存じておりますよ。」
「それがわかったら、さっき俺がお前に言った言葉はわかる筈だ。」
「さっき私が言ったこととこれとは違うでしょう。」
「違わないね。同じことだ。」
「私は同じことだということを、どうしても了解出来ません。」

「そうかい。それほどまでにお前の頭の中が愚かしいとは思わなかった。」
と言うんです。なんだ。こっちは文明民族なのに、野蛮人から
冷やかされていると思ったから、言いました。

「その理由をうけたまわらせていただきましょう。」



次回につづく


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テーマ:モノの見方、考え方。
ジャンル:心と身体
コメント
この記事へのコメント
態度がデカイ
まあ大体は、なにか偉大なことを成すような人は、
「態度がデカイ」ですね。

その点わたくしなどは態度のデカさが中途半端
だったと思います。

やまんばさん同様私も「強情な奴」と
思われたことが何度もありましたでしょうね。
なにも気にしなければよかったのにね~
中途半端だったですね。

その上たいしたキャリヤもないのに
思い込みばかりが強かったですから、
失敗の連続でしたです。若いときは・・・・・



2008/04/15(Tue) 20:21 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
態度が大きいですね^^
霊感、強情・・・今日の記載の中で印象に残った言葉です。やまんばも強情だと、呆れられたことがありますから^^。でも、一見ばかばかしいことの中に真実や知恵が隠されていることがあります。信じて実行に移すと初めてわかることがあります。それは今まで染み付いた価値観を捨てなければできないことでした。
まるでおとぎ話みたい、・・そう感じたことがあります。
昨日の猫のエサのときも、自分の価値観を捨てて、相手の価値観の中に立ったとき、怒りはやがて消え去りました^^。
2008/04/15(Tue) 08:25 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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