碌々(ろくろく)ブログ

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患者の支えとなるにはどうするか

アルフォンス・デーケン 編著「老いと死をみつめて」同文書院より(30)


Q 看護婦の仕事に就いて六年になります。
ずいぶん末期の患者さんの看護にも当たりました。

死語の問題について、
患者さんが精神的な拠りどころを求めて
苦しんでおられる場合に、

なにか支えてあげる方法はないのでしょうか。


A たびたび書きましたように、死をすべての終わりと
見なすかどうかによって、生と死に臨む態度はまったく
異なってきます。


多くの患者さんの最後の数時間を看とった私の経験
から言っても、その違いの大きさには目を見張る
ものがあります。

特に日本では、普段あまり宗教に関心をもたない人
が多いのですが、いざ死を前にすると、なにも頼る
ものがないと嘆いたり、死後への不安に苦しんでい
る患者をよく見かけます。

こうしたとき、看護する人が自分の死生観や特定の
宗教を患者に押しつけることは絶対禁物です。

もちろん、ケア担当者自身の死生観が明確でなければ、
患者の精神的な面を支えることは難しいのですが、
あくまでも患者本人の考え方を尊重すべきだと思います。

もし患者が死後の生命を信じているのであれば、信仰が
強まるように励まし、その希望から勇気と力を与えられ
るように援助することが大切です。

また歴史的に見ても、大多数の人類が、死を消滅ではなく
新たな生命への移行と見なしてきたという事実を伝えて、
患者の参考に供することは差しつかえないと思います。


欧米社会の基底には、キリスト教の信仰が深く根づいて
います。そのため、ほとんどの病院にはチャペルがあり、
カトリックの神父やプロテスタントの牧師が、専属の
チャプレン(病院付き神父・牧師)として働いています。

チャプレンは、医師や看護婦、ソーシャル・ワーカー
たちと共に、ターミナル・ケヤ(終末期看護)のための
チームに必ず加わっていて、患者やその家族のさまざまな
精神的・宗教的ニーズに応じます。

先年私は、西ドイツのハイデルブルグにある「病院チャプ
レン養成センター」を視察してきました。ここは、六年間
の大学教育を受けて司祭となったカトリックの神父の中で、
さらに専任チャプレンを志望する者のための四か月の集中
コースです。

各専門分野の講師による論理的な学習と、ハイデルベルグ
大学医学部付属病院での実地訓練とが、並行して行われます。
このセンターからは、すでに二百人を越すチャプレンが送り
出されました。

チャプレンは個々の患者へのケアと共に、病院内のコミニティ
づくりや、医療チーム内のバーン・アウト(燃え尽き症候群)
の予防まで、きめ細かく対応します。

もちろん、日本と西ドイツでは、宗教的な事情に大きな違いが
あります。私は西ドイツのやり方が、すぐそのまま日本に適用
できるなどとは思いません。

しかし、もうそろそろ日本でも、宗教家がお互いに協力して、
こうした問題と取り組むべきときではないでしょうか。



アルフォンス・デーケン 編著「老いと死をみつめて」今回で終了



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2007-09-25 | 人生哲学 |  コメント : 0  |  tb : 0

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