2006年02月12日 (日) | Edit |
岸田秀著「ものぐさ精神分析」中公文庫より

人間は誰でも自分について、
おれはかくかくしかじかの性質だとか、
このような性格だという
一定のイメージを持っている。

自分は生きるのが下手だというのも、
このようなセルフ・イメージの
一例である。

このセルフ・イメージは、
当人の客観的性質の反映ではなく、
他の人びとに対する当人の
期待ないし要求の反映なのである。

いいかえれば、
当人のセルフ・イメージから判明するのは、
彼がどんな人間かということでなく、
彼が他の人びとにどんなことを期待ないし
要求しているかということである。


『生きるのが下手な人へ』という本によると
生きるのが下手な人とは、

「どうしても他人と調子を合わせてゆけぬ人」
「うまく立ち回れずいつも恥をさらしてしまう人」
「働いても働いても金のたまらぬ人」
「一生けんめいやるわりには人によく思われぬ人」

「人に頼むことが苦手でいつも自分でやってしまい、
くたびれ果てる人」
「おべんちゃらの言えぬ人」
「騙されても騙されても人を騙す側に回れぬ人」

「してやられてばかりいてもその相手を悪く思えぬ人」
「どうやらいつも抜けている人」等々

この世知辛い人生では、
まず落第生、劣等性、無能者、不器用、
と片づけられてしまいそうな人のことである
と定義されている。

また他の個所では、
「ずばり言わせてもらうなら、生きるのが下手な人間ほど、
神さまや、仏さまに近いと私は思う。……(中略)……

生きるのがなんと下手だなあ、と思っている人よ、
あなたはなんといっても、
生きることがうまい連中にくらべると、
私利・私欲に走ることがすくないはずである。
これが多かったら、下手であるはずがないのだ」

と、生きるのが下手な人が
えらくもちあげられている。

この本では、
自分は生きるのが下手だと思っている者をそのまま、
実際に生きるのが下手な者と決めてかかっているが、
両者はまったく別の人間である。

この本の著者の表現を借りて、
「ずばり言わせてもらうなら」、
自分は生きるのが下手だと思っている者とは、
欲の深い者である。


次回につづく



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2006/02/13(Mon) 18:33 |   |  #[ 編集]
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