若さが失われていくことへの不安
五木寛之著「不安の力」集英社文庫より (22)
先日、婦人向けのファッションを扱っている
店の人から話を聞いて、ちっと意外に思った
ことがありました。
いま、四十代、五十代から六十代くらいの女性たち、
いわば(大人の女性)たちに合わせて中年向けの
商品を入荷しても、絶対に売れないのだそうです。
その反面、十代、二十代くらいの若者を対象にした
ヤング向けの服を仕入れておくと、そうした(大人
の女性)たちもどんどんそれを買っていくという。
その話を聞いたときに、
すぐに思い浮かべたのはシャネルのことです。
かつて、ぼくらが若かった時代には、
シャネルといえばたいへん大人びたブランドとして
一目おかれている存在でした。
三十年ほど前のことですが、
ある若い女優さんがパリへ行って、
本店でシャネルのスーツをオーダーしようとした。
すると、「マドモアゼル、失礼ですが、うちのスーツは
あなたのような若いかたの服ではありません。ぜひ、
四十をすぎてからいらしていただけませんか」と丁重に
断られたという。
その話の真偽はわかりません。しかし、そんなゴシップというか、
一種の伝説のように伝えられたほど、シャネルは(大人の女性)
のブランド、というイメージが定着していたのです。
それを身につけるのにふさわしい年齢ではないという理由で、
商品を売らないという姿勢。そこに、シャネルというブランドの
持つ確固たるポリシーをつくづく感じさせられたものです。
そのころは、シャネルの服を着るとか、ルイ・ヴィトンのバッグを
持つとか、エルメスを身につけるということは、すなわち一人前の
(大人の女性)になったということでした。
もちろん、そうした高級ブランドを持てるということは、
社会的にアドバンテージを得る、優位に立てる、という
ことでもあったのです。
ところが、それから何十年か経ったいまは社会全体の風潮が一変
しています。ヨーロッパの老舗ブランドでも、驚くほど大胆というか、
若々しいデザインのものをショーウインドウに飾る時代になりました。
次回につづく
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先日、婦人向けのファッションを扱っている
店の人から話を聞いて、ちっと意外に思った
ことがありました。
いま、四十代、五十代から六十代くらいの女性たち、
いわば(大人の女性)たちに合わせて中年向けの
商品を入荷しても、絶対に売れないのだそうです。
その反面、十代、二十代くらいの若者を対象にした
ヤング向けの服を仕入れておくと、そうした(大人
の女性)たちもどんどんそれを買っていくという。
その話を聞いたときに、
すぐに思い浮かべたのはシャネルのことです。
かつて、ぼくらが若かった時代には、
シャネルといえばたいへん大人びたブランドとして
一目おかれている存在でした。
三十年ほど前のことですが、
ある若い女優さんがパリへ行って、
本店でシャネルのスーツをオーダーしようとした。
すると、「マドモアゼル、失礼ですが、うちのスーツは
あなたのような若いかたの服ではありません。ぜひ、
四十をすぎてからいらしていただけませんか」と丁重に
断られたという。
その話の真偽はわかりません。しかし、そんなゴシップというか、
一種の伝説のように伝えられたほど、シャネルは(大人の女性)
のブランド、というイメージが定着していたのです。
それを身につけるのにふさわしい年齢ではないという理由で、
商品を売らないという姿勢。そこに、シャネルというブランドの
持つ確固たるポリシーをつくづく感じさせられたものです。
そのころは、シャネルの服を着るとか、ルイ・ヴィトンのバッグを
持つとか、エルメスを身につけるということは、すなわち一人前の
(大人の女性)になったということでした。
もちろん、そうした高級ブランドを持てるということは、
社会的にアドバンテージを得る、優位に立てる、という
ことでもあったのです。
ところが、それから何十年か経ったいまは社会全体の風潮が一変
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Comment
ブランド志向
2007-01-22 | ろくろく #- | URL|[ 編集 ]
高級ブランド
やまんばは、自慢にもなりませんが、未だにブランド品がわかりません。一つだけ、小さなバッグのいただきものがあり、長持ちするのに、感心しています。
2007-01-21 | やまんばさん #- | URL|[ 編集 ]
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やっぱり、なにより他人に評価されたいという
欲求だと思います。
「自己の重要感」を自分の
持ち物で現そうとするのでしょう。
わたしはブランド品を一つも持っていないです。