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2006年11月09日 (木) | Edit |
土居 健郎 著「表と裏」弘文堂より(26)


ここでは、ウンハイムリッヒが魅力の反対を意味する
という観点から、先にあげた二つの物語の結末を
いま一度考察してみよう。

そうすると谷崎の「秘密」において、
男が女の居所を見つけ出し、
その大凡の正体を知ったとき感じたものは、

空想裡に築いた秘密の世界が一挙に瓦解
したことによる幻滅だけでなく、

目の当たりに見る現実に対するおぞましさ、
すなわちウンハイムリッヒであったことがわかる。


これに引き換え漱石の『こころ』では、
尊敬する先生からの手紙で「先生」の突然の自殺と、
これまで隠されていた「先生」の恥部を知らされた「私」が、

当然幻滅やおぞましさを感じていいはずなのに、
それを感じなかったのはいったいなぜなのであろうか。

この点は前にもふれたごとく、
彼が「先生」の秘密を秘密として受け取ることが
できたからに他ならないが、

またそれゆえにウンハイムリッヒの感情が起きなかった
ということができるのである。

そしてこのことを可能にしたものこそ
「先生」と「私」の間に成立した愛であった。

すなわち愛と秘密の間には特別の関係が
存在するように見えるが、この点については
更に次章において考察するつもりである。


愛について書かれた本が一体どれほどの数あるか
ちょっと想像もつかないが、

私の眼にふれたもので判断する限り、
愛と秘密という観点を取り上げて論じたものは
案外に少ないようだ。

手許にある目ぼしいものを幾つか当たって見ても
その目次や索引いずれにも秘密の字は見当たらない。

もっとも丹念に頁を繰って見れば、
ここでのべようと思っている事柄を扱っている箇所が
見つかるのかもしれない。


ただ一つの例外ともいうべき本は、
ドイツの神学者ハンス・アリムセンの書いた
「愛の秘密」と題する小冊子であるが、

私はこれをたまたまある本屋の店頭で見つけて
買い求めた。

しかしあんまり有名な本ではないらしく
この本を書いたということ以外に著者が
どういう人物か聞いたことはないし、

この本がドイツでどのような評判を得ているのかも
わかってはいない。

但し私自身はこれを読んで非常に共鳴したし、
ここで私がのべようとしていることと
まったく同じことを著者は考えていると思った。

後にその主旨を紹介するが、その前に、
前章でのべたところを受けて、
愛と秘密の関連を考えてみよう。


次回につづく


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コメント
この記事へのコメント
幼児というか赤ちゃんだすね
たすかに、幼児は悪戯するから、疲れちゃいますぞなもし。幼児ていうよりか赤ちゃんに近いだすかね。赤ちゃんには驚きと懐かしさ感じるだがに。だから、驚きと懐かしさを与える人ということでよかでしょうか。
2006/11/09(Thu) 17:45 | URL  | 錬金術者 #-[ 編集]
魅力ある人とは
幼児のような純真な精神の持ち主は
たまにお会いするのはよいですが
ずっと一緒だとけっこう疲れませんか?

純真な精神の持ち主は、
私を含めかなり自己中ですな。


ほんとに魅力的な人は要求しない人。
与え続ける人ということでしょうか?

何を与えるかといいますと
物や、お金や、愛を与える人でしょうね。

愛に関してはもうちょっと複雑です。
愛して欲しくない人から愛されるのは
苦痛そのものですから・・・・・



2006/11/09(Thu) 16:55 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
土居 健郎さんは「ホイヴェルス神父」の本を
いくつか書いておられるようですし
キリスト教の信者さんでもあるようですね。

ここでの愛は「キリスト的な愛」?と
お見受けします。

一般的な日本人にはちょっと理解しずらいかも
しれません。





2006/11/09(Thu) 16:35 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
愛と秘密?
漱石の「こころ」に感じた先生と私との間に、やまんばが感じた{救い}は、愛と呼ばれるものなのですね。明日が楽しみです。
2006/11/09(Thu) 10:20 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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