2006年10月08日 (日) | Edit |
嵐山光三郎著「徒然草の知恵」ダイヤモンド社より(24)


兼好は争いごとのつまらなさを
『徒然草』の随所で説いているのだが、

ーー巧みにしてほしきさまなるは、失の本なり

ー達者ぶっていても、
自分勝手なのは失敗のもとである 〈第一八七段〉

これまた、人間関係の極意である。


われわれの社会でも、
それぞれの人が慎重に物事を運び、
慎重に討議し、慎重に人に接し、

慎重に仕事をしていくのだが、
往々にして初心というものを忘れがちになる。

ある程度のところまで、物ごとをなしてしまうと、
本来慎重だったのを逸脱してしまい、
慎重でなくなってしまう瞬間がある。

その一瞬に、失敗のわなが待ち構える。

言ってしまうと、ごく当たり前だが、
つねに慎重であれという結論は、
当たリ前であるがゆえに忘れがちになる。

油断して冷や汗をかいて、
その大切さに気がつくのである。

慎重を唯一の信条にしている人こそが、
やがて、達人、名人の位置に
たどりつくことができるのである。


兼好法師は、道を極めた人の話が好きで、
晩年になって書かれた後半部分にその記載が多いのは、

年をとるにしたがって見えてくるものを
伝えたかったのであろう。
達人・名人話は王道へつながる。

まず、一八五段に乗馬の達人の話が出てくる。
(城陸奥守康盛(じょうのむつのかみやすもり)という
馬乗りの名人がいた。

馬を引き出させたときに、
足をそろえて門のしきいをゆらりと飛び越えるのを見て、
「これは気がはやっている馬だ」と言って乗らなかった。

また、馬が足を伸ばしたままで、しきいに蹴あてると、
「これは鈍感な馬で、こんな馬に乗ったら失敗するだろう」
と言って乗らなかった)

というエピソードを紹介して、次のような感想を述べている。

ーー道を知らざらん人、かばかりおそれなんや

ー乗馬の道に通じていないような人は、
どうしてこれほどまでに用心しようか

人と対話するときは
慎重をもってなすことが極意である
という前章と表裏いったいをなす言葉である。

ものをよく知っているからこそ、慎重になる。

ごく当たり前のことでありながら、
われわれが実生活の中で
見過ごしてしまいがちなことを、
兼好はここでも説いているのである。


次回につづく


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テーマ:心理学
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
およそ慎重さとは無縁の

物事を深く考えることなく
軽々しく行うことばかりの
人生でした(^。^;)

慎重に人に接し、
慎重に仕事をしていくのが
大切だとは考えてなかったです。



2006/10/08(Sun) 14:18 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
ジョージ・バランシン
それにしてもマリアさんは
ほんとに色々な趣味お持ちですね。

「毎日の基本練習を大切に正確に憶える」
ホントにシンプルですねぇ







ジョージ・バランシン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%B3
2006/10/08(Sun) 14:00 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
常に慎重であれ
無防備、自他ともに危ないことなのですね^^。やまんばのいる里はコスモスがあふれるように咲いて、黄金色の稲の上を気持ちのよい風が吹き、小鳥がピーピーないてます。いっぽう都会は、右向いて、左向いて、また右を向いて、今度は左、右、左、右、左、最近用心深くなったやまんば、なかなか、横断できません^^。慎重とは、いままでの私にとって、距離のある言葉でしたが、これからの人生をさらに深く味合うためにも、感度を研ぎ澄まし、自他の心に敏感でありたいとおもっています。今日はバカの壁を読んでいます。ありがとうございました。
2006/10/08(Sun) 13:18 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
おはようございます☆

基本って本当に大切ですよね。何事も。
初心と同様、ついつい忘れがちになりますけれど。

私、バレェを観るのが大好きで、踊りだけに留まらず、ドキュメンタリーもの見るのも、同じくらい好きでなのですが

ジョージ・バランシンと言うロシア人で、もうお亡くなりになりましたが、バレェ界の大御所で、伝説的で天才的な振付家がいるのですが、彼は難しい事を何も言わず、ただ、ただ「踊れ!踊れ!踊れ!」ということ、基本をきっちり身につけるためにも、「毎日の基本練習を大切に正確に憶える」、これ以外何も言わなかった、と聞いて、やはり『達人』その道の『大家』って、古今東西、どの分野であれ、実にシンプルで核心的であるなあ、と感慨深くみていたのをていたことを思い出しました。。

嵐山さんも書いてらっしゃる通り、『基本、初心』って、当たり前すぎて、つい、なおざりになってしまうことだけに。
2006/10/08(Sun) 11:54 | URL  | マリア #-[ 編集]
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