2006年09月16日 (土) | Edit |
嵐山光三郎著「徒然草の知恵」ダイヤモンド社より(12)


ーー一時を必ず成さんと思はば、
他の事の破るるをも傷むべからず

ー一つのことを必ず成しとげようとするならば、
他のことがだめになるのを嘆いてはならない 〈第一八八段〉

というのも兼好の信条であった。
これは、先に例にあげた、
一時の怠りを生む原因の三番目、

何かを成し遂げようと思うと、
そのことによって障害が起きてくる
という事態への対応として書かれている。


(他人が嘲るのをも恥ずかしがってはならない。
たくさんのことを犠牲にしなくては、
一つの大事は成しとげられるはずがない)

とするのが兼好の答えである。
この決然とした答えは、
兼好の体験から出たものであろう。

兼好の出家が、単に世捨人への憧憬から
起こったものではないことを示す一例だ。

兼好は、吉田神社祗官の三男であり、
長兄慈遍は叡山大僧上となった。
次兄兼雄は六波羅探題のボスである。

つまり、長兄は大学学長であり次兄は警視庁総監
なのである。兼好自身、大臣堀川貝守の家司だった。
下位とはいえ宮廷の官である。従五位下といえば、
公卿になる一歩手前だ。

兼好は人一倍出世を望んでいた人間であった。
俗世間の生ぐさい暗闇をかけ抜け、
父兼顕の意をくみ吉田家の昇格に命をかけていた。

だからこそ堀川大臣の意をうけて、
『徒然草』の執筆を為したのである。
兼好は脱俗を装った現実論者であった。


何かをしようと思えば、
必ず人からいろいろなことを言われる。
中傷を受け、悪口をたたかれ、命までねらわれる。


平穏な一生というのは、大したことをしないかわりに
他人からは悪口を言われない人生ということに
なるのだろうが、兼好はそういった生き方が許される
立場になかった。

すべて、吉田家の官位昇格が生涯の目標であった。
人間の一生が無常であることを知りつつも、
吉田家復興という家じたいの悲願は、
兼好の心に苔のように張りついて離れない。

春の雪仏が空しいと知りつつ、
兼好は雪仏を作りつづけた人間であった。
業を否定しつつ業から離れられない。

その苦痛と矛盾との格闘の書が『徒然草』なのである。

このような格闘の果てに
「中傷、嫉妬を覚悟の上でなければ、
一事をなすことはできない」
と兼好は言い切るのである


次回につづく


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テーマ:哲学/倫理学
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
正解は

2つ目の 谷沢永一著「人間通」新潮選書より (6)
松下幸之助一代の名言
http://lokulog.blog43.fc2.com/blog-entry-76.html

です。
先ほど「松下幸之助の名言」で検索したら
ヤフーでは10番目に出てきました。

ブログ内検索にはかかりませんでしたが
「嫉妬」に関しての
碌々ブログの中でのベスト記事は

人間の本性は自己愛である
谷沢永一著「人間通」新潮選書より (5)
羨望
http://lokulog.blog43.fc2.com/blog-entry-75.html

だとおもいます。
羨望と嫉妬は同じ意味と考えていいと思います。


羨望

人間は自分に与えられた分け前だけで
満足することができない。

他人がもうちょっと沢山を
手にしているのを見たらいらいらする。

絶対量が満足するには足りないことを
不平に思うのではなく、
誰かと較べて自分の方が
僅かに少ないと怒るのである。

私はこれだけで十分ですと
安穏に自足する度量の持ち主は絶対にいない。

自分は不平屋ではないという顔つきをさらして、
清貧の人格者であるという評判をとろうと
計算する作戦家を時に見かけるだけである。


人間が自分と他人を比較する性向を持つかぎり、
比較は必ず羨望の情を産んで身を苛(さいな)む。

(以下略)


「安穏に自足する度量の持ち主は絶対にいない」
と断定しているところがすごいと思いませんか?

何度読み直してもいいですね。
谷沢永一著「人間通」は他の記事もとても
よいので以下にブログ内検索かけたものを
リンクしてみました。
http://lokulog.blog43.fc2.com/index.php?q=%BF%CD%B4%D6%C4%CC


2006/09/17(Sun) 10:47 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
美輪さんだと思います。
一番明快だから。でもどれも、深くうなずけます。今日のは、とくにいまのやまんばには、あとずさりするほど、応えました。
2006/09/16(Sat) 17:54 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
嫉妬をブログ内検索 してみたら 
該当の記事が4つありました。

最初は 美輪明宏著「ああ正負の法則」より
正負の法則・・・地球上のあらゆる難問を解くキーワード 
http://lokulog.blog43.fc2.com/blog-entry-11.html

2つ目は 谷沢永一著「人間通」新潮選書より (6)
松下幸之助一代の名言
http://lokulog.blog43.fc2.com/blog-entry-76.html

3つ目は 大島淳一著「あなたはこうして成功する」マーフィーの成功法則 
産能大学出版部より (5)
人を呪わば穴二つ
http://lokulog.blog43.fc2.com/blog-entry-87.html

4つ目が今回の嵐山光三郎著「徒然草の知恵」ダイヤモンド社より(12)
中傷、嫉妬を恐れるな
http://lokulog.blog43.fc2.com/blog-entry-262.html

この中に「碌々(ろくろく)ブログ」のなかで
アクセスナンバーワンの記事があります。

その記事だけで全国から今までにおおよそ
800アクセスほどありました。
みなさんどれだかおわかりですか?




2006/09/16(Sat) 16:21 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
錬金術者さん☆

おぬしの『カインとアベル』の子孫のその後の顚末記
我輩、てぐすね引いて、楽しみに待っているぞなもし。
2006/09/16(Sat) 15:23 | URL  | マリア #-[ 編集]
おはようございます☆

おう、兼好法師も人の嫉妬、中傷にさらsれた経験があるのねぇ。

美輪さんの言い草じゃないけれど「この世は、嘘、ねたみ、嫉妬、中傷でできている」そうですから。。

嫉妬って厄介ですよねぇ。。するのもされるのも。
それらを、克服していくのも修業のひとつなんかしらね。やはり。。

なんか、やれ「勝ち組」だ「負け組」だの、よくよく闘争的な手合いが多くって。。

あちこちで、勝ったの負けたの言っているのを見ていると『ご苦労様』と、思いますわ。疲れるだろうなぁ、って。

「勝ち負け」なんてあるわけも無い、それに拘る自分の心があるだけですもん。(競技じゃあるまいし。。)

そこいらを、さすが人生の達人!兼好法師も美輪様も(いろいろ泥水を飲んだ経験者なればこそ)達観されたのね☆

人間、苦労がないと確かに成長のしない、ということが解りましたわ。
2006/09/16(Sat) 11:21 | URL  | マリア #-[ 編集]
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