2006年09月02日 (土) | Edit |
嵐山光三郎著「徒然草の知恵」ダイヤモンド社より(10)


ーー夕(ゆうべ)には朝(あした)あらん事を思ひ、
朝には夕あらん事を思ひて、
重ねてねんごろに修せんことを期す

ー夕方にはまた翌朝があることを思い、
朝になればまた、その日の夕方があることを思って、
あとでもう一度丁寧に修業しようと考えてしまう
                〈第九二段〉

一朝とか一晩とかいう時間でさえ
自分のゆるんだ心に気がつかないのだから、

ましてわずか一瞬の間に、
心のゆるんだことを気づくものがあろうか、
と兼好は指摘する。


兼好は、一日という時間の大切さについて
こうも言っている。

ーー一日の命、万金よりも重し 〈第九三段〉

この言葉は、これだけ抜き書きしてみると、
なにやら日めくりカレンダーの格言のようで、
米屋の柱にぶら下がっているような表現だが、
九三段全体を通して見ると、兼好の特質が顕著である。

兼好という人は、
つねになにかエピソードをもってきて、
その中から大事なことを教えるという、

一種の説教癖があり、
これは幼き邦良親王への「君主論」であった
『徒然草』が持つ特質である。

話のうまい人や、大勢の前で話すのが得意の人は、
みな、わかりやすい通俗のエピソードを上手に
取り込んで話すものだ。小学校の校長先生や、
村長などがそうだ。


九三段は牛売りの話である。
「牛を売る人がいて、買う人が、
明日その代金を支払って牛を引き取ろうという。

ところがその夜のうちに牛が死んだとする。
その場合、買おうとする人には利益があって、
売ろうとする人には損がある」

という話を聞いて、そばにいた人がこう言う。
「牛の持ち主はなるほど損をしたけれど、
一面ではまた、大きな利益を得ている。

なぜなら、生きているものは、みな死が迫って
いることに気がつかないでいるものだ。
この牛もそうだった。人間とて同様である。

思いがけなくも牛は死んだのだが、
その持ち主が生きていることも
思いがけないことだと言わねばならない」

という話に続いて、先にあげた、
「一日の命、万金よりも重し」
が出てくる。

牛売りは、お金では損をしたけれども、
それ以上のもの(金にも勝る命)を得たのだから、
損をしたことにはならないというのである。

人生は無常であるということ、
一日の命は万金よりも重いということが
わかったというエピソードである。


次回につづく


↓↓↓あなたの応援↓↓↓(1日1クリック)お願いします。

にほんブログ村 哲学ブログへ人気blogランキング精神世界 ランキング

スポンサーサイト
テーマ:哲学/倫理学
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
おはようございます☆

>ヘンデルの40枚組みのCDをたまたま持っていたので

えっ!本当に?羨ましい~、貸して(笑)。。。冗談ですけど(笑)
しかし、本当、ろくろくさんは多趣味で、いろんなことに精通しているようですので、楽しいですわ!それに、知識も増えますし、まさに「一挙両得」ですわ☆

ごめんなさい。『涙流るるまま』の原題は、Lascla chio piangaです。でも、邦題って、統一されてませんでしょ?なので、困る事がありますわ。時々。。
プッチーニの『私のお父様』(この曲も大好き!)もいろいろで統一されていませんし。。
この『涙流るるままに』も同様で、『私を泣かせて・・・』のほうが、一般的なのかもしれませんが。。。

私もお葬式の曲のリストは、今後も増え続けるとおもいますわ(笑)何せ、気が多いので♪
2006/09/03(Sun) 12:07 | URL  | マリア #-[ 編集]
涙流るるままに
武満徹は「バッハのマタイ受難曲」を聴きながら
亡くなったと聞きました。

映画「死に花」の葬式のシーンでは
ジャズのスタンダード「When you're Smiling」
が演奏されていましたね。

私も葬式のときに流して欲しい音楽が
あるのですが、コロコロ心変わりがするので
決めかねています。


ヘンデルのThe Masterworks CD40枚組を
たまたま持ってたのでオペラRinaldoの中に
あるところまではわかったのですが
これがイタリア語の洋版で、

「涙流るるままに」がどれにあたるかが
わかりません。

イタリア語の題名がお分かりでしたら
マリアさん教えてください。



2006/09/03(Sun) 10:50 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
こんにちは☆

やっぱりというか、想像通り、ろくろくさんは幅広くいろんなジャンルの音楽聴いていらっしゃるんですね☆

「Savane」是非、聴いてみますわ!アフリカン・ブルースだなんて、本家本元ですもんね♪

ブルースといえば、マリアンヌ・フェィセフルの歌、いいですわあ~
哀愁があって、酸いも甘いもかみ分けた「大人の音楽」そのもので。。


私もジャンルは余り拘らないで、いいな!と、思うとすぐ、飛びついちゃうほうです。

気が早いんですけど、私、死んだらお葬式していらないから、お気に入りの曲を、荼毘に付すまでかけていてね!ってお願いしていて、ほぼ、そのリストも出来ています。
その筆頭にして、外せないのが、ヘンデルのアリア「涙流るるままに」です。この曲は、私の『魂を神妙にする』ので、それだけに、めったやたらと聴けないんですね。題名そのまま、泣いてしまいますし、魂が揺さぶられて、頭をたれ神に許しを請いたくなるの。(ジャコモ・ロッシの詩も簡潔で心を打ちますわ)

ごめんなさい(笑)今日の、記事と関係なく、昨日の続きで、まるで交換日記みたいですね(笑)

2006/09/02(Sat) 15:32 | URL  | マリア #-[ 編集]
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック