2014年04月01日 (火) | Edit |
谷沢永一著「人間通」新潮選書より (6)


狐色

嫉妬心は人間の本能であり、
いつも心のなかに蟠(わだかま)り疼いている。

それを除きとり消しさる方法は絶対にない。
せめて適度に抑制する自律の心構えが関の山である。

それなら嫉妬心があまり跳梁せぬように
手綱を引きしめる手立てはあるか。

もしあるとすればただひとつ、
自分は人並みに嫉妬心が強いのだと
顧みて自覚する心働きである。

世間でいちばん厄介な持てあまし者は、


人間通 (新潮文庫)人間通 (新潮文庫)
(2002/05)
谷沢 永一

商品詳細を見る


自分が嫉妬心の塊であるくせに、
それを寸毫も自覚せず妬(ねた)み嫉(そね)みを
野放しにしている勝手者である。

この種の当り散らし屋がひとりいるだけで、
周囲の全体に暗い気分が広がり浸み透る。

本人も心性が重く沈んで固く縮み惨悴(かじか)んで、
いずれは五臓六腑に支障を来たす。
我れ他人(ひと)ともに不幸を生むのである。


嫉妬心は宇宙根源の力によって
人間に与えられた法則なのである、
と松下幸之助が喝破した。

嫉妬心は万有引力のような
宇宙の法則なのだから、
これを取除くなんて考えもできない。

だから嫉妬心が宇宙の法則であると
さとらないで気に病むと人間を不幸に陥れる。

しかし無茶苦茶に嫉妬すると
法則からの逸脱であり濫用となる。

そこで、嫉妬心は狐色に程よく
妬かねばならない。
黒焦げまでゆくとこれはもう宜しくない。

狐色に妬くと、かえって人間の情が高まる。
嫉妬は狐色に程よく妬く。

人間の嫉妬心を扱って百万言を費そうとも、
最終的にはこの気構えに
落ち着かざるをえないであろう。

松下幸之助一代の名言ではなかろうか。


スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック