2014年01月01日 (水) | Edit |
谷沢永一著「人間通」新潮選書より (3)


凌ぎたい

人間はいつも自分と他人とを比較している。

片時も気をゆるめず、
世間のあの人と自分を見くらべている。

おっとり観察を楽しんでいるのではない。
誰かよりちょっとでも抜きんでいたいと
願っているのである。

多少とも優位に立ちたい。
できることなら少しでも他人を出し抜いて、
一歩でも二歩でも前を行きたいと望む。

人間通 (新潮文庫)人間通 (新潮文庫)
(2002/05)
谷沢 永一

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僅かでいいから得をしたいと狙う。
上手に立ち回って人を見かえしてやりたい。

それによって得るところが
大した事であろうとなかろうと、
その絶対量を問題にしているのではなく、
他人を押さえうまくやっているのだという
楽しみを味わいたい。

自分の方が幾分は突出していると
自覚できる程度の、
ささやかな満足感を求めるのである。

他と比較しての優位こそ
最も願いとし欲するところである。

客観的な基準などどこにもない。
とにもかくにも人を凌いで生きたい衝動が、
人間の本性を心の底から突きあげている。


誰よりも早く電車に乗りこみたいのは、
席を取るためであるから
至極もっともな行為である。

しかし飛行機に乗りこむ通路の途中でさえ、
人を押しのけて先を行こうと企むのはなぜだろう。

座席は予定されているし
出発は全員が同時である。
あわてる必要はどこにもない。

にもかかわらず断乎として急ぐのは
人を出し抜く快感を求めてであろう。

自分はいつも機敏に身を処して
誰にもおくれをとっていないのだと考えるとき、
腸(はらわた)の底からこみあげてくるような
喜びが味わえる。

凌ぎたい。出し抜きたい。
それがすべての人間をかりたてる
共通の行動原理なのである。


(ろくろく)谷沢永一先生のおっしゃるとおりです。


次回につづく

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