2013年07月08日 (月) | Edit |
ティク・ナット・ハン著「微笑を生きる」春秋社より (29)


第四の段階は、その感情を解き放つことです。

もうあなたのこころは静まって
ゆったりとしているので、

恐れのさなかにあっても、
それに圧倒され、
押し潰されることはありません。

自分で恐れをうまく扱うことができるとわかったら、
すでにその恐れは最小限までちぢまって、やわらぎ、
不快さもなくなっています。

さあ、いまです。その恐れに微笑んで、
放してやってみてください。


微笑みを生きる―“気づき”の瞑想と実践微笑みを生きる―“気づき”の瞑想と実践
(2002/02)
ティク・ナット ハン

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でも、これでおしまいではありません。静まり、
放つことは、恐れという症状を治す薬にすぎません。
いまこそもっと奥へ潜って、恐れの根源を変容させる
ときなのです。

第五の段階は、深く見つめることです。

お母さんが赤ちゃんがなきやんだあとでも目を
離さないように、恐れが消えてしまっても、
あなたの赤ちゃん、あなたの恐れを深く見つめて、
何が原因だったか、なぜ泣いたのかを考えます。

いつまでも赤ちゃんを抱いているわけにはいきませんから、
どうして赤ちゃんが泣いたのか知っておく必要があります。

観察すれば、どうしたら感情を変化させられるかわかります。
たとえば、赤ちゃんが泣くには、外部や内部のいろいろな
原因があります。

赤ちゃんの身のまわりで何かぐあいの悪いことがあったなら、
それをとりのぞき、まわりの環境に優しくいたわりの手を
入れてやれば、すぐに泣きやみます。

赤ちゃんをよく観察してやると、
その子が泣く原因が見えてきます。

それが見えてくれば、その感情を変化させて解き放って
やるにはどうすればよいか、なにをやめたらよいかは、
自然にわかってくるはずです。

この方法は心理療法と似ています。
セラピストは患者と一緒になって苦痛の中心を見つめます。

こうすれば、患者のものの見方、固定観念、育った環境、
文化などから出てくる苦しみの原因を知ることができます。

セラピストは患者とともにものの見方やこころのしこりを
調べ、一緒になって、患者が閉じこめられている牢獄から
患者を救いだそうとします。

しかし、患者の努力が一番大切です。ちょうど教師の仕事が、
子どもをひとり立ちさせ、子ども自身がみずからの教師に
なる手助けをすることであるように、

セラピストも患者自身をひとりのセラピストに仕上げ
なければなりません。患者の「内なるセラピスト」は
フルタイムで効率よく仕事をしてくれるからです。

セラピストは患者に別の考えを植えつけることをしては
いけません。どんな考えや執着が苦しみの原因になって
いるかを患者自身に見つけさせるのが、セラピストの
仕事です。

患者はたいてい苦しい感情から逃れようとします。
往々にして、感情の根本原因となっている自分の考え、
ものの見方を修正しようとはしないのです。

だからセラピストは、患者がありのままの自分を
見つめることができるように、一緒になって考えて
あげなければなりません。



次回につづく

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コメント
この記事へのコメント
今日のタンブラーより
"仏教での平等思想の実践とは、仏教の教えによって差別しない人間になれるというのではなく、「つい無意識に差別して優越感や劣等感をもってしまうのが私というやつなのだ」ということを常に自覚するところにあると思うのです。そして、この自覚にもとづいて、すべての生きとし生けるものへの慈しみを肌感覚となるように習慣づける、というのが仏教の説くところです。"
2013/07/12(Fri) 13:24 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
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