2013年02月01日 (金) | Edit |
J・クリシュナムルティ 中川吉晴訳「瞑 想」星雲社より(37)


夜がゆっくりと明けていった

星はまだ輝いていた

樹々はまだ身をひそめていた

さえずる鳥はいなかった

森のなかを夜どおし動きまわる

小さなフクロウの声さえ

きこえなかった


kigi02

海鳴りのほかには

ふしぎなまでに静かだった

たくさんの花の香りがしていた

落ち葉のにおいもあった

湿った土のにおいもしていた

風はまったくなく

においが いたるところに立ちこめていた

大地は 

夜明けを

一日のはじまりを

待っていた

その気配がただよい

しんぼうづよく待っていた

ふしぎに静まりかえっていた

瞑想は

その静けさとともにおこっていた

その静けさが

愛だった

それは

なにかにたいする愛

だれかにたいする愛ではなかった

幻影や象徴ではなかった

言葉や絵であらわされるものではなかった

ただただ 愛にほかならなかった

どんな感傷も

どんな感情もなかった

それは

それ自身で完全なものだった

あらわにされ

強烈なものだった

根はなく

どこにもむかっていなかった

遠くから聞こえてくる鳥の声は

その愛だった

そこには方角と距離はあったが

時間と言葉はなかった

それは いずれは消えゆく

無慈悲な感情ではなかった

象徴や言葉は おきかえもきくが

そのもの自体はおきかえられない

あらわになっているので

とても傷つきやすかったが

こわせるものではなかった

そこには

あのべつの世界

知られざるものの

近よりがたい強さがあった

それは 樹々をとおりぬけ

海のかなたへ広がっていった

瞑想とは

虚空から響きわたる鳥の声だった

岸に砕ける海鳴りの音だった

愛は

完全な虚空のなかでのみ存在できる

はるかかなたの水平線のうえに

ほのかな黎明がさしてきた

うっそうとした森は

いっそう暗く 闇につつまれた

瞑想のなかでは

なにもくりかえされない

習慣の連続はない

そこでは

知られているすべてのものが死に

知られざるものが花ひらく

星は消えていった

雲が

のぼりゆく太陽とともに

めざめた


瞑想瞑想
(1998/06)
J.クリシュナムルティ

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次回につづく

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コメント
この記事へのコメント
おはようございます。
言葉で 愛を説明してください。。と言われても、やまんばは上手に答えることはできないけど、何度もこうして ろくろくさんのブログで愛がなにかを繰り返していただいていると、 霧が晴れて 物事がはっきりするように、やまんばは愛が何か?がわかってきました。

本当にありがとうございます。

これからも ありのまま 生活し 絵を描き 鳥や花や友達と過ごし 終わりの日まで さまざまな感情やことがらを味わい 生きていけるのでは・・・と思います。
2013/02/01(Fri) 08:54 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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