2013年01月19日 (土) | Edit |
五木 寛之 著「他力」講談社文庫より (6)

二千数百年前、ゴータマという青年は人生を、
〈生老病死〉という四つの思うに任せぬこと
としてとらえました。

生まれてくることは思うに任せぬことであり、
老いも避けられない、人間は病を得る。
そして死も否応なしに迎えなければならない。

人間は自分の意志とか、
努力とかではどうしようもない
生老病死を背負って生きていく存在である。

文明が進歩しようと、
時代が変わろうと、
民族が異なろうと、

これは人間の共通の運命的な条件である、
こう考えました。

他力 (講談社文庫)他力 (講談社文庫)
(2000/11/06)
五木 寛之

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こういう考え方は
徹底した〈究極のマイナス思考〉
であると思います。

では、そういうものを背負った人間が、
それでもなお生き生きと
希望を持って生きていく道はあるのか。

後にブッタと呼ばれる青年が
こういう魂の探求の旅に旅立ったのが、
二十九歳のときでした。

彼は家族を捨て
安逸な生活を捨てて
出家します。

彼は究極のマイナス思考から出発して、
最終的には人間の存在を肯定し、
ブッタ(悟った人)と呼ばれるにいたったわけです。

彼の言葉が人々の心を打つのは、
究極のマイナス思考から確かなプラス思考を
つかみだしたが故ではないでしょうか。

これまで言われてきた
プラス思考と呼ばれているものは、
じつは安易な楽観主義であり、

漠然とした希望であって、
本当に生きる力になるようなもとは
思えません。

本物のプラス思考は、
究極のマイナス思考と
背中合わせなのではないか。

いまはまず、直面する現実、
大きな魂の危機を直視することから
始めなければならない。

私たちが問われているのは、
「人間とは何か」
一生懸命に追求することではありません。

「この状況の中でどうすればいいのか」
こそが、問われているのです。

たとえば、多額の借金を抱えて
どうにもならない状況に陥ったように
感じることがあるかもしれない。

しかし、じつはそれはどうにもならない
問題ではない、と考える。

自己破産を選択するのも
ひとつの方法だろうと思う。

人から蔑まれ、
体面や信用が壊れるかもしれない。
家族も崩壊するかもしれない。

それでも、離婚してもいいから、
家出してもいいから、
人は生き延びるべきだと考えます。

マイナスの勇気、
失うことの勇気、
あるいは捨てることの勇気、

現実を直視した究極のマイナス思考から、
本物のプラス思考が出てくるのです。


次回につづく


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コメント
この記事へのコメント
本当に生きる力になるもの
安易な楽観主義は、
本当に生きる力にならない。

マイナスの勇気、
失うことの勇気、
あるいは捨てることの勇気、

現実を直視する
観察力こそが
人類を救い
本当に生きる力になる。


2013/01/23(Wed) 12:55 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
問われているのは?
「人間とは 何か」
一生懸命に追及することではありません。

「この状況の中で どうすればいいのか」
こそが 問われているのです。

現実を直視した究極のマイナス思考から
本物のプラス思考が出てくるのです。

なんだか 生きることに、強くなれそうです!!!

2013/01/23(Wed) 06:54 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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