2012年10月01日 (月) | Edit |
J・クリシュナムルティ 中川吉晴訳「瞑 想」星雲社より(33)



まったくの虚空と美を感じていた

その小さな草むらは

すぐにもっと色づくだろう

数週間もすれば香りをますだろう

ウズラが鳴いていた

何羽か飛びたった


心はそれをとどめることなく

瞑想の状態にあった

そのなかで

愛が花ひらいていた


kusa


瞑想という土のなかでのみ

この花は咲くことができる

それは ほんとうにすばらしかった

ふしぎなことに

それは一晩中 あなたにつきまとっていた

陽がのぼるずっとまえに

あなたが眼をさましたとき

それはまだ あなたのハートのなかにあった

たとえようもない歓びをともなっていた

どんな理由もみあたらなかった

それは原因もなく そこにあった

まったく夢中にさせるものだった

それは一日中でも

そこにありつづけるだろう

一緒にいてくれと たのんだり

手招きしなくとも……

夜明には まだはやく

樹々が寝静まっているとき

それは

香りたつベランダのうえにあった

真に実在していたのは

美だった



この真の実在(エッセンス)は 体験できるものではない

体験することが

終わらなくてはならない

体験というのは

すでに知られているものを強めるだけだからだ

すでに知られているものは

けっして真の実在ではない



瞑想とは

けっして体験をつみあげていくことではない

体験とは

大きかろうが小さかろうが

刺激にたいしておこる反応にすぎない

瞑想とは

真の実在へいたる扉をひらくこと

燃えさかる炉の扉をひらくことだ

その炎はすべてを焼きつくす

一片の灰すら残さない

燃えかすは なにひとつ残らない



わたしたちは 残りかすにほかならない

えんえんとつづく過去を受けつぎ

とだえることのない記憶をひきつぎ

選択と絶望をくりかえしている……

大きな自己も 小さな自己も

あるかたちをとった存在物にすぎない

存在物とは 思考にほかならず

思考が 存在物の正体なのだ

そこでは

哀しみがたえることはない



瞑想の炎のなかで

思考は燃えつきる

それとともに

感情も燃えつきる

思考も 感情も

愛ではないからだ

愛がないところに

真の実在はない

愛がないなら

あるのは灰だけだ

その灰のうえに

わたしたちの存在がつくられている



なにもない虚空からあらわれるもの

それが愛だ


瞑想瞑想
(1998/06)
J.クリシュナムルティ

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次回につづく

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