2012年06月01日 (金) | Edit |
・クリシュナムルティ 中川吉晴訳「瞑 想」星雲社より(29)



その朝 海は

まるで湖か 大河のようだった

波がなく

あまりにもおだやかだったので

夜明けまえには

星が映っているのがみえた


夜はまだ明けておらず

星や

岸壁のかたちや

遠くの街の灯が

水面に映っていた



mizumo

太陽が水平線に姿をあらわし

雲ひとつない空にのぼっていくとき

金色の道がうかびあがった

そのカリフォルニアの陽光が

大地に

木の葉のひとつひとつに

草の葉に

ふりそそいでいるのを見るのは

たとえようもなかった



それを見ていると

大いなる静けさが

あなたのなかに しのびこんできた

頭のなかが とても静かになった

どんな反応もおこらなかった

なにかがうごく気配もなかった

このはかりしれない静けさを感じるのは

ふしぎな感じだった

“感じる”というのは

言葉の世界にはない

あの沈黙の質

あの静けさの質は

頭で感じられるものではない

それは頭の世界を超えている

頭は 概念をつくりだしたり

定式をうち立てたり

将来の計画をうみだせる

だが この静けさは

頭がおよびうる限界を超え

想像できるすべてのものを超え

願望できるすべてのものを超えている

あなたが とても静まっていたので

からだは

すっかり大地の一部になっている

静まりかえった森羅万象の一部になっている



丘から そよ風がふいてきた

木の葉をゆらし

この静けさをゆらしたが

このたとえようもない静寂が

乱されることはなかった

その家は

丘と海のあいだにあった

海がみわたせるところにあった

あなたは海をみていた

とても静かで

あなたは ほんとうに万物の一部になった

あなたは あらゆるものだった

光だった

愛の美しさだった

いや「あなたは万物の一部だった」

という言いかたもまちがっている

“あなた”という言葉は ふさわしくない

あなたは 実際 そこにいなかったのだから……

あなたは存在していなかった

存在していたのは

あの静けさ

美しい

たとえようのない

愛の感じだけだった


瞑想瞑想
(1998/06)
J.クリシュナムルティ

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次回につづく

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コメント
この記事へのコメント
自分の生きたいように生きる
自分の心のあるところに、やまんばは存在するのだと思う。

小さいときに両親が離婚したやまんばにとって、「自分の生きたいように生きる」という言葉は、その結果起こることを、引き受けて生きるということなんだ!としみじみと感じています。

これまで、自分の周囲に起きることを、じ~と見てきた私は、
自分にとって、一番大切なことは、
置かれた場所の中で、「人の心を大切にすること」
それが、一番、「自分をしあわせにすることなんだ」という
ことでした。
 
残された人生がどれだけあるのか?やまんばにはわかりませんが、この気付きを羅針盤として生きるということが、やまんばの「自分の生きたいように生きる」ということなんだと思います^^^^。

2012/06/05(Tue) 06:34 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
セキュリティ
「今日の言葉」を久しぶりに更新しました。

タンブラーの中の
「コリン・ウイルソンというひとは
自分の人生のセキュリティを強化す
るために学校へ行かなかった」

という言葉がとても気に入ったからです。
下に全文を紹介します。

“コリン・ウイルソンというひとは
自分の人生のセキュリティを強化するために
学校へ行かなかった、という話は前にも
このブログ記事に書いた。

学校へ行って勤め人や医者になるという人生を送ると、
自分のようなタイプの人間は結局は縊死することになる、
というガキにしては聡明な信念からである、

と自分で書いている。

わしは13歳だったかのときに、
このコリン・ウイルソンの話を読んで
甚(いた)くカンドーしてしまった。

「自分の生きたいように生きるのが
生きてゆく上でのもっともすぐれた
セキュリティである」という考えは、
わしを気楽にした、
とゆったほうがいいのかもしれません。”

「セキュリティ」
« ガメ・オベールの日本語練習帳v_大庭亀夫の休日 (via ginzuna)

「自分の生きたいように生きるのが
生きてゆく上でのもっともすぐれた
セキュリティである」

ろくろくの場合も
ほぼ自分の生きたいように生きてきて
これでよかったんだと思っている。
2012/06/03(Sun) 12:42 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
タンブラーの中で
羊さんが笑っている

やさしく笑ってる

その笑顔をみているとやまんばも笑った

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

印刷して 壁に貼りました
ありがとうございました。
2012/06/03(Sun) 09:36 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
気付きませんでした。
クリシュナムルティさんが、ここで「自分」のことを「あなた」と表現しているということは、全く気がつきませんでした。
それほどまでに 自分を観察できるということに 驚きました。
2012/06/03(Sun) 09:02 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
このたとえようもない静寂
クリシュナムルティはここで
自分のことを「あなたは」
と表現しています。

このことはほぼ完全に
自分を観察できていることを
現わしているのですね。

頭の世界を超えて
すっかり大地の一部になっているのを
感じているのです。


2012/06/01(Fri) 14:40 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
おはようございます。
「存在していたのは あの静けさ」 

読んでいくうちに 涙があふれてきました。

あなたが とても静まっていたので 
からだは
すっかり大地の一部になっている
静まりかえった森羅万象の一部になっている

この世ではないような、水面の風景を見せていただき
ありがとうございました。
2012/06/01(Fri) 06:21 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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