2011年05月21日 (土) | Edit |
五木 寛之 著「他力」講談社文庫より (1)


私は努力型の人間ではありません。
むしろ、その反対の、
かなりいいかげんなタイプです。

だが、努力をする、
という姿勢にあこがれるところは
昔からありました。

中学生のころは机の前に「努力!」
と大きく書いた半紙をはって
しきりに努力をしようと
むなしい努力を続けていたものです。

高校にはいると、
それは「克己」という字に
変わったりもしました。


しかし、いくら自分を激しく鞭うとうと、
何をやってもなかなか長続きしないのが
私の生来の性格です。

しなければならないこと、
したほうが絶対にいいことが
自分でわかっていても、

それに取りかかることができない。
真向法も、ウォーキングも、
三日と続きませんでした。

他力他力
(1998/11)
五木 寛之

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生活のすべてに関して投げやりで、
きちんと結末まで片づけることが
生来苦手なのです。

・・・・・・
ひょっとすると、少年時代にとんでもない
価値大逆転の時代を通過した体験と、

いまの私の暮らしぶりのいいかげんさとは、
無関係でないかもしれません。

自分ひとり何をどうがんばろうと、
大きな社会の変動や
時代のうねりの前には、

ほとんど無力なのだ、と、
体のどこか深いところで
感じているようなのです。

だめなものはだめ、
できないことはできない。

個人の努力も善意も、
むくわれないときはむくわれない。

いや、むしろそのほうが多いのが
人間の世界である、と、
心の底でひそかに思っているのです。


正直者がばかをみる、
という言葉を聞いて、
十代のころ思わず
びっくりしたものです。

なんだって?
これまで正直者がばかをみなかった時代なんて、
一度でもあったんだろうか。

いまごろ何を言っているのか、
と素直に驚いたからです。

それを、ただ、ひねくれた少年の歪んだ考え、
と切り捨ててしまいたくない気持ちが、
いまでも私の中にはあります。

正直者がばかをみるのは当たり前だ、
と信じこんでいればこそ、
私はこれまでに何度も全身全霊で感動できる、

めったにない出来事を
体験することがあったのです。

世の中には、
正直者がばかをみないことも、
ごくまれにはあるのです。

それは事実です。
私はこれまでに何度もそういう例を見てきました。
そして本当に心の底から感動したものです。

努力がむくわれることもまた、まれにあります。
めったにないことだが、絶対にあります。
努力がむなしいなどとは決して思いません。

しかし、それはこの世の中で、ごくごくまれな、
大げさに言えば奇跡のような事件として
あるのであって、それ以上ではないのです。

露骨に言ってしまえば、
正直者はおおむねばかをみます。
努力はほとんどむくわれることはありません。

そういう私のものの見方は、
どこか歪んでいるように思います。
決してノーマルではないでしょう。

しかし、歪んだ鏡に正しい像は映りません。
時代には〈常時〉と〈非常時〉があります。
坂には登りと下りがあります。
風にも順風と逆風があります。

いま、私たちが時代のどこに
立っているかが問題なのです。


次回につづく


他力 (講談社文庫)他力 (講談社文庫)
(2000/11/06)
五木 寛之

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コメント
この記事へのコメント
大丈夫なんとかなる
ろくろくは、ツイッターやタンブラーで流れる
原発情報は、どちらかと言えばオーバーな表現
だと思っています。

もちろん深刻な状況ではあるのですが、
ぬかりなくちゃんと情報をえて対処すれば
まだまだ大丈夫だとおもいます。

どちらにしても原発は全廃させる方向に
もっていかねばなりません。



2011/05/24(Tue) 20:06 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
道は開ける・・・
この度の地震、津波、それに原発事故
救いようのない、抜け道のないトンネルに入ったような感覚で、何をしても、心が晴れることはありません。

先日、ある被災者の方から、私たちへのメッセージを聞かせていただきました。
「とにかくお祈りください。」
誰かが いつも共にいてくださる・・・それがなによりの救いなのだそうです。

この世から、原発をなくしてほしい 

もう もとには戻れない

やまんば、本当は怒ってるのです!
地震や津波だけなら、何年か かかって、みんなでその荷物を背負えば、なんとかなると思うけど、原発事故だけは、そうはいかない・・・

どうしてくれるのです!

と叫んでも、みんなが被害者・・・・言うていくところがありません。

日常の平凡な生活の上に、払いようのない暗く雲が覆っている
 
ろくろくさんのコメントの「道は開ける・・」の言葉は、
たとえ、死ぬまで、解決しないかもしれないけど、やまんばの心の底まで、矢のように希望の光が差し込みました。
いつかは道は開ける・・・どんなことが起きようと、そう願って、生きていこう!と思いました。
 



2011/05/23(Mon) 06:29 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
Y字路
コメントありがとうございます。
なんでも調べずに、すぐにろくろくさんに聞くのはやまんばの欠点。すみません^^

今「横尾 忠則 Y字路」で検索してみました。
たくさん、描かれているのですね^^^^^
掲載写真は六枚くらいありました。このシリーズたくさんあるのですね。、本まで出されていました^^
日記のサイトもあり、少し読ませてもらいました。
クスクス、おもしろかったです。
2011/05/21(Sat) 14:53 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
本当ですね
「自分ひとり何をどうがんばろうと、
大きな社会の変動や時代のうねりの前には
ほとんど無力。」

今回の大地震や原発事故のことを思えば
自分ひとりではホントに無力ですね。

でも道は開けると思います。
2011/05/21(Sat) 13:10 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
Y字路 2
あっ でも、云われて見ると
そうかもしれません。

横尾忠則さんの他の「Y字路」
とはあまりに違うので
うっかりしていましたが

横尾忠則さんの作品なのかも
しれませんね
2011/05/21(Sat) 09:25 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
Y字路


これですね。
http://bit.ly/kVtNp3
誰のかはわかりませんが、
違うと思います

2011/05/21(Sat) 09:19 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
忘れっぽい天使の中より
数日前に記載されていた「Y字路」
横尾忠則さんのY字路でしょうか?
もし、そうであるならば、やまんばは驚き、同時に喜びました。このY字路のシリーズはやまんばの記憶では随分と暗かったからです。グラフィックデザインのころの、あの色彩感覚がもったいないなあ・・・と思っていました。
しかし、この作品はとても冴え冴えと美しく、色が透明になり、隅々までやさしい光が感じられたのです。
横尾さんのことが気になっていたのか、古本屋さんで、「死の向こうへ」というタイトルの横尾さんの本をみつけました。この本を読んで、あのY字路の意味が何を表現しているのか、理解できたように思います。


2011/05/21(Sat) 08:56 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
今朝の言葉の中の印象に残ったこと
自分ひとり何をどうがんばろうと、大きな社会の変動や時代のうねりの前にはほとんど無力。

いま、私たちが時代のどこに立っているかが問題なのです。

というところでした。
2011/05/21(Sat) 06:21 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
ナターシャ・アトラスさんの歌声
あれから、ブログを離れても、何度も何度も、頭の中を彼女の歌声のある部分の旋律が流れ、とても心地よかったです。
2011/05/21(Sat) 06:09 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
おはようございます
我が家に今年はさくらんぼが適度になりました。
少し、赤みがさしたときから、ヒヨ鳥が狙い始めたのです。やまんばはなぜか今年はさくらんぼが食べたいと思ったので、ヒヨ鳥と知恵比べをすることにしました。

まず、一番目は白い新しいホースに黒のマジックで、目を描き、枝に巻きつけました(これは仕掛けたやまんば自身がさくらんぼを摘むとき、何度も驚きました。蛇みたいでビクッするのです。)

つぎに、ネコ退治には今や効き目がないと言われている、ペットボトルに水をおもり程度に少々入れ、あちこちに吊るしたのです。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
これが効果てきめんか!
ヒヨ鳥は何回きても、けたたましい鳴き声をあげ、去っていくのです。おかげで、やまんばはゆっくり庭に出て、赤く熟れたさくらんぼをこころゆくまで食べることが出来、ここ二日で七つの透明なプラスチックの弁当箱に詰め、御近所におすそ分けできたのです。
ヒヨ鳥が学習する前に、また、これ以上欲をはって、やまんばが木から落ちる前に、今朝はあのペットボトルを外して、向かいのヒノキにとまっているヒヨちゃんたちに開放してあげようと思います^^^^とても楽しいさくらんぼ狩りでした!
2011/05/21(Sat) 06:04 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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