2010年03月24日 (水) | Edit |
実は目下、アーユルベーダの蓮村誠さん以上に夢中になって読んでいる
のが宗教学者の正木晃さんの本です。宗教の本のなかでもとりわけ密教
の本は難解で、途中で放り出してしまいたくなるような本ばかりですが、
(自分の未熟さは棚に上げています)彼の本はなべてわかりやすてとても
面白いのです。

正木晃さんに出会ったキッカケとなったのは十牛図でありました。
十牛図をネットであれこれ調べている内に「地球人スピリット・ジャー
ナル1.0」というスピリチャルな本を数多く紹介している素晴らしい
サイトを見つけました。そこで正木晃さんの本がいくつか紹介されてい
たのです。

最初目にした「チベット密教」ツルティム・ケサン /正木晃 2000/01
筑摩書房 新書 222p は次のように紹介されていました。

・・・・・
数百円という新書本に、これだけの密教的な秘密が提供されてしまって
いいのだろうか、と思ってしまうほどの圧倒感がある。第一部はチベット
密教の位相を歴史的な視点から理解し、第二部では、修行法およびそれを
支える理論を論じている。・・・

さっそく購入して読みふけってしまいましたね。いままで密教に関しても
やもやしていたものが、払しょくされた感じがしました。

さて今回ご紹介する本は「密教的生活のすすめ」正木晃 2007/11 幻冬舎
新書 198p であります。


密教的生活のすすめ (幻冬舎新書)密教的生活のすすめ (幻冬舎新書)
(2007/11)
正木 晃

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裏表紙には

密教――凡夫には容易にうかがい知れぬ秘密の教え。
インド大乗仏教の発展の極みに誕生し、中国・チベットなどに伝来、
日本には空海らが伝えた。深遠かつ壮大な思想体系をなすが、
エッセンスは意外にシンプルかつ明快である。

宗教学をわかりやすく解説する第一人者として知られる著者が、
密教の修行法の中から一般人でも簡単に実践でき、
確実に効果のあるものを選び、やさしく解説する。・・・・・

とある。

■空海とユーミン(8頁~)

正直言って、密教はむずかしい。
その歴史も理論も、ひじょうに複雑である。
こう言ってはなんだが、いわゆる鎌倉仏教のように、
単純明快とはいかない。

そもそも密教は、人生のすべてをかけて修行に励む、
いわばプロフェッショナルのための宗教なのだ。
鎌倉新仏教のように、アマチュアでも参加できるタイプの
宗教とは、そのへんが根本的に異なっている。

しかし、密教を現実生活のなかで実践するのは、おもいの
ほか、簡単である。なぜなら、密教という宗教思想は、
日本人がおそらく縄文時代以来もちつづけてきた考え方や
感性に、ぴったりと合っているからだ。

少なくとも、鎌倉新仏教のように、特定の思想やイデオロ
ギーを「これが最高!これ以外はダメ!」と言って、押し
つけてくることはない。

空海の「声字実相義」という書物に、次のような言葉がある。

五大に皆響きあり
十界に言語を具す
六塵ことごとく文字なり
法身はこれ実相なり

現代語に訳してみても、むずかしい。
しかし、空海が言おうとしているのは、じつは存外、日本人に
は理解しやすいことなのだ。そのことを証明するために、もう
一つ、詩を引用しよう。ユーミンこと松任谷由美の「やさしさ
に包まれたなら」である。


(1) 小さい頃は 神様がいて
  不思議に夢を かなえてくれた
  やさしい気持ちで 目覚めた朝は
  大人になっても 奇蹟は起こるよ

  カーテンを開いて 静かな木漏れ陽の
  やさしさに包まれたなら きっと
  目に写る全てのことは メッセージ


(2) 小さい頃は 神様がいて
  毎日愛を 届けてくれた
  心の奥に しまい忘れた
  大切な箱 開くときは今

  雨上がりの庭で くちなしの香りの
  やさしさに包まれたなら きっと
  目に写る全てのことは メッセージ

カーテンを開いて 静かな木漏れ陽の
  やさしさに包まれたなら きっと
  目に写る全てのことは メッセージ


私は、この詩と空海の「五大に皆響きあり・・・」が、
本質的にはほとんど同じだと思う。その理由はこうである。

空海の言説をまとめれば「この世に存在するありとあらゆる
生命も自然も物体も現象も、すべてが真理そのものであって、
ホトケの言葉であり言語であり文字である」ということになる。
この結論が、ユーミンの詩と、みごとに一致している。

とくに注目していただきたいのは、「やさしさに包まれたなら
きっと 目に写る全てのことは メッセージ」というくだりだ。
この一節は、空海が華麗な漢文体を駆使して訴えようとした主
張を、これ以上にないくらい、端的かつ簡素に表現している。

したがって、密教の根本思想を、ユーミンの詩を借りて、ごくご
く簡潔に表現するなら、この世の「目に写る全てのことは(究極
のホトケにほかならない大日如来からの)メッセージ」となる。

もし仮に、空海がこの話を聞いたとしても、けっして怒らないだ
ろう。むしろ、自分の考え方が1200年以上の歳月を超えて、
日本人の魂の中に生きつづけている事実を知って、喜んでくれる
にちがいない。(~11頁)



地球人スピリット・ジャーナル1.0」でBhavesh さんは、次のように述べておられる。

玄侑宗久の「禅的生活」と対をなすかのような「密教的生活」
という言葉だが、この言葉はちょっと珍しいのではないだろうか。
ひょっとするとこの本において初めて出てきた造語なのかもしれない。
「密教」という概念と、「生活」という概念、ほぼ対極にあるような
言葉でありながら、その二律背反的な言葉が一つになるところに、
新しい概念を生み出す妙というものがあるのだろう。


【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 密教を生活に取り入れる!
第2章 密教は体に効く!
第3章 密教は心に効く!―密教瞑想法入門
第4章 マンダラの智恵を生かす!
第5章 マンダラを実践する!
第6章 密教で死を考える

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
正木晃(マサキアキラ)
1953年神奈川県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。
国際日本文化研究センター客員助教授、中京女子大学助教授などを経て、
現在は慶應義塾大学で非常勤講師。宗教学/日本密教・チベット密教を
専攻。著書多数。不登校・引きこもり問題、環境問題の共同研究および
実践も行っている。


チベット密教 (ちくま学芸文庫)チベット密教 (ちくま学芸文庫)
(2008/05/08)
ツルティム・ケサン正木 晃

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