2008年12月05日 (金) | Edit |
ひろさちや著「狂い」のすすめ 集英社新書より(7)
Ⅰ「狂い」のすすめ(7)


だが、夫は言いました。

「おまえね、一休禅師といえば、世間で“生きぼとけ”と
呼ばれている名僧なんだよ。

そんな名僧に抱かれることは、この上ない名誉じゃないか。
もう一度訪ねて行って抱かれておいで……」

言われて奥方は気を変えます。
再び化粧して、庵室を訪ねます。

「トントン」
「どなたかな……?」
「わたくしです。孫右衛門の妻です。戻って参りました」


「おや、そうかい。だがのう、わしの欲情はとっくに醒めて
しまったものでのう。まあ、お家におかえりなさい」

読者はどう思われますか?
たしかに一休禅師は狂っています。
僧でありながら人妻を口説く。

僧でなくて俗人であっても、人妻に言い寄るなんてもっての
ほかです。それもまじめに恋をしたのならまだしも、たんに
一夜の浮気です。

ちょっと時間がたてば醒めてしまうような欲情でもって、
人妻に不倫をっせようとするのだから、けしからんことです。
しかも彼は禅僧なんだから、彼の行為は弁護の余地はありま
せん。

したがって、一休禅師は狂っています。わたしもそれは認め
ます。けれども、一休禅師は狂っているにしても、彼を狂っ
ていると批判する世間の物差しは狂っていませんか……?

世間はまともですか?
そうじゃないでしょう。
世間のほうがもっと狂っていますよ。

だってね、「わたしは不倫なんてできません」と偉そうなこと
言っておいて、夫に「生きぼとけに抱かれるのは名誉なことだ」
と言われて、のこのこ抱かれに行く。

そんな人妻は狂っていませんか。「抱かれておいで」と言う夫
も夫です。もっとも、この夫の言葉には別の解釈が可能です。

彼は一休禅師の人柄と考えをよく知っていて、一休禅師を信頼
しており、妻に禅の考え方を教えるために、わざと「抱かれて
おいで」と送り出したいう解釈です。

その解釈の方が禅らしいと思います。
だから、夫の言葉は不問にします。

問題は妻の行動です。そして妻の行動は典型的な世間の常識
です。その世間の常識のほうが狂っていませんか!?

わたしは同じ狂いであれば、一休禅師の狂いのほうが好きです
ね。あれは「風狂」です。『広辞苑』によると、“風狂”とは
《風雅に徹すること》とありました。

奥方の狂いは「俗気の狂い」です。
いやらしいったらありゃしない。



次回につづく


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テーマ:哲学/倫理学
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
bakuhenさん
コメントありがとうございます。


そうですね。
一休さんはある意味たしかに狂ってますね。

そうですね。
たしかに今の世の中と一緒ですね。


一休さんには「狂雲集」という有名な本が
あります。そこには例の盲目の森女とのことや
男色のことなどがあからさまに書かれている
ようですね。

こんな七言絶句があります。


  一生受用する米銭の吟 
  恥辱無知にして万金を攪む
  勇色美尼 惧に混雑 
  陽春の白雪 また 哇音


どういう意味かというと、

お経を読んでいさえすれば、
坊主なんてものは一生食いっぱぐれない。

適当に恥をかき、無知を承知でいれば大金は入る。

そこへもってきて男色に遊び、
ついでに尼さんをものにしていれば、
これは陽春(堺の陽春寺)でほとばしる「白雪」だって
いつもピュッピュと飛ばせて、
気持ちいいこと限りない、

くだいて言えば、まあ、こういった内容だ。 

松岡正剛の千夜千冊『狂雲集』一休宗純より転載
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0927.html


それでは、実際にこの人妻を抱いてしまったのか・・・?

それはあなたのご想像のままに・・・・・・

2009/05/31(Sun) 12:15 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
はじめまして、こんにちは!
そうですね。
一休さんは狂ってますね。

今の世の中と一緒です。

それでは、実際に人妻を抱いてしまったのか・・・?

一休さんに聞いてみましょうか?

どうやって?

それは、屏風のトラと同じ要領で・・・(爆笑)
2009/05/30(Sat) 12:01 | URL  | bakuhen #nl2iu0pM[ 編集]
長いようで短い三年間
本をタイピングすることは、ただの読書とは違って、
著者の考え方を大変深く理解することができたよう
に思います。

またコメントを毎日書くことは、無教養の私には、
あらためて検索し直すことが必要でありましたから、
とても勉強になりました。

なにはともかくここまで続けてこれたのは
やまんばさんはじめ、多くの方達がご覧いただいて
いるという気持ちが励ましになりました。

過ぎてしまえばあっという間の三年間だったですね。
ほんとにありがとうございました。


2008/12/05(Fri) 18:42 | URL  | ろくろく #-[ 編集]
おはようございます
ろくろくさん、ブログをお休みされるそうですね。
わかりました。ここ数日さまざまなことが重なり、
やまんばにとってもちょうど良い時期かもしれません。
三年間、ほとんど毎朝その日の自分の心に正直にコメントを書かせていただきました。コメントの中は凝縮された時間が詰まっていて、大変有意義な時間が過ごせました。ありがとうございました。
いつのまにか、自分の研究したい方向性が見えてまいりました。絵の制作とともに、一人でその道を歩いてまいります。それもこれも、このブログで学ばせていただいたおかげだと、心から感謝しております。
ろくろくさんはもとより、マリアさん、錬金術者さんは私の生涯において、忘れることのできない思い出深い人になりました。今思い出しても胸がきゅんとします。

ろくろくさん、本当に長い間ありがとうございました。
やまんばの未熟なコメントにいつも丁寧に答えてくださったり、たくさんのことを教えてくださり、田舎の山猿は幸せな時を過ごさせていただきました。

やまんばは今日でコメントを終了させていただきます。
みなさん、ありがとうございます。
お名残りおしいけど、これでお別れします。
たくさん たくさんありがとうございました。
さようなら・・・・。お元気で!
2008/12/05(Fri) 07:49 | URL  | やまんばさん #-[ 編集]
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